今週の糸口 ◇86 住生活基本法に立ち返る
住宅新報 2014年4月1日 号 13面
連載: 今週の糸口
4月1日、消費税率が8%にアップした。昨年9月までの駆け込み需要反動減は今も続く。来年10月に予定されている10%への引き上げで住宅販売はどこまで落ち込むのか、住宅・不動産業界は眠れぬ夜が続く。
しかも、消費税率引き上げは10%で止まるわけではない。高齢化の進展で社会保障費の増大が続く限り、上がり続ける可能性がある。更に、人口と世帯数、住宅取得適齢期世代の減少が中・長期的に市場縮小に拍車を掛ける。
軽減税率導入は当然
ローン減税の拡充や、現金給付など対症療法的措置で、この社会構造の大変革を業界が乗り切ることは難しい。目指すべきは、やはり住宅に対する恒久的軽減税率の導入で、その実現に今こそ全力を注がなければならない。
ただ、日本の住宅税制はどちらかといえば、これまで「税のあり方論」というよりも、景気対策や政党間の力学などかなり高度な「政治判断」によって決定されてきたきらいがある。業界もそれでよしとしてきたのではないか。
そのため、いまさら住宅に対する恒久的措置を求めるために理論構築を始めようとしても、些かの戸惑いを禁じ得ない。特に消費税については、88(昭和63)年の創設時に徹底した議論を尽くすことができず、完全適用を認めってしまっている。住宅家賃が非課税項目に加えられたのは91(平成3)年5月で、その時も明確な理論武装があったわけではなく、低所得層が多い賃貸住宅は対象から外すべきという単純な考えからだったようだ。
6条と10条に注目
とは言え、15年度税制改正での軽減税率導入は何としても実現しなければならない。その成否は、業界の未来を決すると言っても過言ではないだろう。では、そのための理論をどのような視点で構築していけばいいのだろうか。
最も重要な点は、住宅は他の一般消費財とはもちろん、自動車、家電などの耐久消費財とも社会的意義を異にしているということである。そのことは、06年2月に施行された住生活基本法で明確に規定されている。中でも、強調したいのは第6条である。
「…施策の推進は、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることにかんがみ、低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として、行われなければならない」
つまり、刻々到来しつつある日本の新たな成熟社会にとって、生活の基盤となる住宅の安定的確保の重要性を指摘している。そして、10条では、政府はそのために「必要な法制上、財政上、又は金融上の措置」を講じなければならないとも定めている。ここでいう「法制上」には、当然税制を含む。
これに関し、日本住宅総合センター専務理事(代表理事)の大柿晏己氏はこう語る。
「土地基本法では、この〝法制上の措置〟とは別に、〝税制上の措置〟という条項をわざわざ設けている。税法以外の法律で、税制についての基本的考え方が示されるのは極めて異例だ。住生活基本法でもこうした条文を設けておくべきだった。それがあれば、今回軽減税率導入を要望するのも、かなりやりやすかったのではないか」
実は、この背景には土地基本法では税制上の措置が〝増税〟を意味していたのに対し、住生活基本法では〝減税〟につながることを理解していた財政当局の思惑があったわけだが、今やそのような駆け引きはやめ、真に日本の未来に必要な恒久的住宅税制を構築するときである。(本多信博)

















