今週の糸口 ◇84 今こそ国づくりのビジョンを
住宅新報 2014年3月18日 号 13面
連載: 今週の糸口
かつて存在していた国土庁は、「均衡ある国土の発展」を目標に、全国総合開発計画を数次にわたって策定した。今、その理念は薄れ、むしろ「東京一極集中」を是とする空気が役所にも民間にも強い。
この価値観の大きな変化はなぜ起こったのか。言うまでもないが、「国土の均衡ある発展」が成し遂げられたからではない。地方では多くの地域が過疎に苦しみ、財政破綻におびえる自治体さえある。少子高齢化という社会構造の大きな変化を背景に、東京と地方との経済的格差は拡大しているし、地方圏から東京圏への人口流入も続いている。
不動産協会の木村惠司理事長(三菱地所会長)は、13日に開かれた理事会後の記者懇談会で「国としての土地利用ビジョンの必要性」を強調した。「国が地方の役割や土地利用のビジョンを示し、実行は地方にまかせればいい」
復興遅れの真因
東北の復興が遅れてしまった大きな要因も、もともとは国が「東北を日本の中でどう位置づけるのか」というビジョンを持っていなかったからだろう。東京一極集中是認は、国としての責任放棄にしか見えない。そのしっぺ返しはいずれやってくる。早ければ20年の東京オリンピック終了後か。一人ひとりの国民は5年、10年先のことまで気にかけている余裕はない。政治に委ねるしかないだろう。
しかし、経済成長以外に、確たる国としてのテーゼを持たない日本は、どこへ行こうとしているのだろうか。世界に先駆けてやってくる超高齢社会を乗り切る術は、経済的豊かさだけではないはずなのだが。 (本多信博)

















