今週の糸口 時代を担う 10 業界団体の使命、重く
住宅新報 2013年12月3日 号 15面
連載: 今週の糸口
〝業界エゴ〟とは言うが、〝企業エゴ〟という言葉はあまり聞かない。裏返せば、企業のエゴは当然だが、業界はそうであってはならないということだ。しかるに業界団体の実態は、会員企業の利益優先をモットーにしている。
合成の誤謬避ける
経済学の用語で〝合成の誤謬〟という言葉がある。家計や企業などミクロの行動としては正しくても、それらが合成されたマクロ(経済や業界全体)ではかえって悪い結果を招いてしまうことを指す。
近年では〝失われた10年〟が、その好例だろう。バブル崩壊で、企業の多くが傷んだバランスシートを改善するため、借金返済や資産売却に走った。
それは一企業の行動としては正しくても、経済全体としては設備投資の落ち込み、土地などの資産価格の下落を招き、それらが更なる景気悪化と資産デフレを招くという悪循環につながった。
高度成長が終わり、低成長経済下に移行した国では、この合成の誤謬が生じやすくなっているのではないか。
例えば住宅業界では今、空き家増大が大きな問題となっている。にもかかわらず、住宅の供給・販売戸数の縮小を打ち出す企業は見当たらない。空き家率が今のまま増え続けたら地域再生も中古市場活性化もおぼつかない。
また、本格的増税時代を迎え、国民の将来の暮らしは一段と厳しさが予想される。今こそ業界は、住宅価格を引き下げるアクションプログラムを検討すべきではないか。
改善・改革を提言
国土交通省主導で、新築よりも価格が安い中古住宅市場を活性化させるための取り組みが行われていることは高く評価したいが、インスペクションや瑕疵保険など仲介手数料に加えたコストアップが目立つのが気になる。中古住宅の魅力は何と言っても取得コストの低額性にある。いくら本体価格が安くても、リフォーム代や関連諸経費が嵩んでしまえば魅力は半減する。
中古市場活性化の一手段として、宅建業者が売主となる〝買い取り再販〟では不動産取得税や登録免許税の軽減化(二重課税排除)が議論されているように、仲介システムの抜本的改革も求められている。買主からは手数料を取らない米国方式なども、今こそ真剣に研究すべきであろう。
一企業としては提言しにくくても、業界全体の発展のためには改善・改革しなければならないことはたくさんあるのではないか。
業界団体は会員企業の下部ではない。むしろ、業界や国の利益という視点に立ち、大所高所から各企業を指導する立場にある。
(本多信博)
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「時代を担う」=終わり

















