今週の糸口 日本の住宅を資産と呼ぶ日
住宅新報 2013年2月12日 号 17面
連載: 今週の糸口
中古住宅市場活性化は何のためか。中小不動産業者の救済策という面もあるが、それは結果であり、本来の目的は個人の住宅取引を活発化させ、資産価値を維持していくことにある。
そもそも、住宅取引が増えていくためには、家を売ることによって資産形成が進む人たちが増加していく必要がある。
そのためには、買った住宅の資産価値が下がらないことが何よりも重要になる。住宅は不思議なもので、買った瞬間から今度は売主の立場になる。それが、「住宅=資産」ということの意味でもある。つまり、「売り」を考えない「買い」は、住宅を資産として見る限り、あり得ない。出口戦略がない投資はあり得ないのと同じである。その意味で、〝永住型マンション〟という表現にはやや疑問を抱く。住宅購入は投資ではなく、消費でいいと考えるならば別であるが。
買うときは、安いに越したことはないが、売る時にはなるべく高く売りたい。だから、中古住宅の買い手にとっての最大のメリットを、「安い」ことにおいてしまうと、買った瞬間に売主の立場に立つわけだから、自己矛盾に陥る。
個人にとって大事な資産である住宅は、買主であれ、売主であれ、資産価値維持が最優先されるべきなのである。とはいえ、土地価格の上昇が見込みにくい(あくまでもマクロの話)日本で、資産価値を維持していくのは至難の業。せいぜい、住宅寿命の長期化で、価値の減価率をなだらかにしていくしかない。
あるいは、日本人の住まいに対する価値観が劇的に変化し、立地よりも重視される要素が登場したら、日本の住宅も耐久消費財的な扱いから解放される日が来るのかもしれない。
(本多 信博)

















