普通になる「住宅のスマート化」
住宅新報 2012年9月18日 号 17面
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)など、住宅の「スマート化」が加速している。地域単位で省エネを図るスマートシティとの連携では、大手企業による実証実験も本格化してきた。また、新築だけでなく既存住宅に省エネ機器を導入する〝スマート・リフォーム〟も今後活発化しそうだ。各社の動きを追った。
三井ホーム実験棟に最先端技術を結集
三井ホームは9月4日、「次世代スマート2×4MIDEAS(ミディアス)」を総工費約8000万円をかけて千葉県・柏の葉キャンパスに完成させた。
ツーバイフォー工法が持つ高断熱・高気密性をベースに、住宅業界初の創・蓄・省エネ設備と最新の環境技術を結集した。自然の力を取り入れるパッシブ技術もふんだんに盛り込んだ。
開口部にはビルなどの高層建築で用いられているダブルスキン(2重構造)を住宅で初めて採用。空気の緩衝帯による高い断熱性を確保するだけでなく、水を蓄熱材として活用することで冷たい空気を循環させる画期的仕組みも開発した。
このほか、センサー技術を活用し季節に応じて取り込む日差しを変えるスマートウインドウ、ルーフガーデン、空調・通風自動制御システムなどパッシブとアクティブ技術の融合が随所に見られる。
エクステリアを重視し、住宅本体との一体的設計になっているのも特徴だ。ガーデニングの自動散水装置はウッドフェンスに組み込まれたソーラーパネルで発電した電力を使う。室内では、家庭用ゲーム機のモーションセンサーを活用し、手振りでテレビや照明、カーテンなどを操作する仕組みがユニーク。
HEMSとアプリケーションは分離されているため、ソフトウエアの追加やバージョンアップが容易にでき、進化するHEMSとなっている。
この実験住宅は11月9日まで一般に公開されている(予約制)。基礎実験が11月12日から来年の9月30日まで行われ、来年10月からは入居実験も予定されている。
セキスイハイム販売開始4カ月で1000棟受注
積水化学工業は9月10日、住宅カンパニーが今年4月28日に発売した「進・スマートハイム」の受注が販売開始後約4カ月で1000棟に達したと発表した。
同ハイムは大容量太陽光発電システム、スマートハイムナビ、定置型大容量リチウムイオン電池の3点を搭載したもの。
スマートハイムナビは、コンサルティング型HEMSのこと。同社と顧客をインターネットでつなぎ、測定された住宅内の電力(消費+発電+充放電)情報を、同社のデータセンターが蓄積・管理する。同時に電力使用状況などをパソコンやスマートフォンで「見える化」する。
更に、同ナビを活用した「スマートハイムFAN」も特徴だ。これは、住み手の生活スタイルに即した省エネ方法を具体的な家電製品の使い方にまで落とし込んで説明するというもの。
使用する頻度や時間、温度設定やタイマーなどの活用を指示し、それを実践した場合の効果を節約できた電気代として提示する。
スマートハイムの顧客からは、「住むことでエネルギー問題に貢献できそう」「省エネ・節電をしながらも快適に暮らせそう」「停電時でも電力が確保できるので安心」などの声が寄せられているという。
ミサワ 既築住宅向け提案 省エネ効果をシミュレーション
ミサワホームとミサワホームイングは9月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトで開催される「リフォーム&インテリア2012」に、既築住宅でも太陽光発電(PV)システムや、蓄電池、HEMSを搭載できる「M|SMART・REFORM(エム・スマートリフォーム)」を展示する。
「創エネ、蓄エネ、調エネ、省エネ+耐震・耐久リフォーム」を導入することで通常住宅のスマートハウス化を可能にする。同イベントは日本経済新聞社と公益社団法人インテリア産業協会が主催し、国土交通省などが後援する。今回のテーマは「住まいと暮らしをスマートに」。
ミサワホームのブースでは、実際に具体的なサービスや製品を比較検討しながら、リフォーム後の自分の住まいをイメージすることが可能となる。また、今の住宅にPVを設置した場合の発電量や1年間で節約できる電気代、売電価格などが試算できるシミュレーションも無料で実施する。
人工知能「AiSEG」開発 市場の急拡大見込む パナソニック
パナソニックエコソリューションズ社(長榮周作社長)は9月11日、ホームエネルギーマネジメントシステムの新製品「スマートHEMS」の発表会を行った。
HEMSの中核機器で人工知能とも呼ぶべき「AiSEG(アイセグ)」を開発、各種機器のエネルギー消費を高度に制御コントロールできるようにした。
例えば、クーラーやテレビなどをつけながら、電力使用料が大きいIHクッキングヒーターのスイッチを入れると、ヒーターに使える最大電気量を計算し火力を自動調整する。
あるいは、エアコンの設定温度を時間が経つにつれ徐々に上げて、寝入ってしまったときなどの冷え過ぎを自動的に防ぐことができる。また、昼間の間、太陽光発電でつくった余剰電力でエコキュートのお湯を自動で沸き増しすることもできる。
「スマートHEMS」は、新築時はもちろん、既存住宅にも導入できる。またHEMSの国際標準規格である「エコーネットライト」を搭載しているため、パナソニック以外の家電製品との接続も可能となる見込みだ。
同社ではこのHEMS販売目標として、13年度1万セット、15年度は5万セットを見込んでおり、市場は今後急速に拡大するものと期待している。
アキュラ 太陽光発電を無料搭載 フェア期間中、井戸掘り工事も
アキュラホーム(宮沢俊哉社長)が主宰する全国の工務店ネットワーク「ジャーブネット」では、9月15日から12月16日までの期間限定で、太陽光発電システム(1.17キロワット)を無料で搭載する「スマート&エコ住宅 今が建て時!フェア」を始めた。
今年9月1日から東京電力の家庭向け電気料金が平均8.46%(年間平均約1万7000円)値上げされたが、1.17キロワットを搭載して売電することによって値上がり分を補てんできるだけでなく、年間収支で1万円以上得になるという。
また、同ネットワークは「自然の恵みを活かしたスマートハウスひふみ」の全国一斉発売も始めた。「ひふみ」は次世代省エネ基準のエコ住宅に創エネ設備とHEMSを搭載した「スマートハウス」。更に、自然利用のエコ設計手法や、震災時などに役立つ「井戸」の提案も行っている。フェア期間中は井戸掘り工事も無料となる。























