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スタンダード会員限定細野透 × 殿木真美子 旬な作品 住宅レビュー (80) ハイブリッド型のゼロエネ住宅 太陽熱集熱と太陽光発電を併用 「OMクワトロソーラー」

住宅新報 2012年7月24日 号 10面

住まい・くらし
OMクワトロソーラーのシステム図(冬の昼間)

OMクワトロソーラーのシステム図(冬の昼間)

 全国に数ある住宅会社のなかで、最もユニークな社屋を持つのは、OMソーラー株式会社であろう。OMとは、「面白い」のOと「もったいない」のMに由来する名前だが、静岡県浜松市の浜名湖畔にある本社には、この場から様々な技術が生まれていくようにという願いをこめて、「地球のたまご」という名前がつけられている。

 敷地の広さは実に3万m2超。その中に、木造2階建ての事務室6棟とカフェテリアがゆったりと建ち、各棟を木の架構を持つコリドール(回廊)が結ぶ。敷地の約3分の1は、生態系を支える大きな池で占められ、実験棟やモデルハウスが点在し、全体が豊かな緑に包まれている。

 OMソーラー株式会社は、(1)環境共生型住宅である「OMソーラー」の設計・施工技術を、(2)「ボランチャイズチェーン契約」で結ばれた全国各地の会員工務店160社に提供し、(3)かつ必要な部材(集熱部材、ダクト部材、ハンドリング部材、補助暖房部材、貯湯槽部材)および躯体を開発、製造、販売する企業である。ほかに、(4)設計事務所や地方自治体に対し、「OMソーラー」を利用した施設建築(文教施設、医療施設、コミュニティ施設、福祉施設、公営住宅、民間住宅)の企画を提案し、設計と施工を補助し、部材を開発、製造、販売する活動も行っている。1987年の設立以来、戸建住宅では2万5000棟、施設建築では600件の実績がある。

 また、建築家の奥村昭雄氏(東京芸大名誉教授)を中心とした「ソーラー研究会」を前史として持つため、関心を持つ建築家が多いだけではなく、『建築住宅』の建築資料研究社や『チルチンびと』の風土社から、何回もムックが発行されているため社会における知名度も高い。

 さて、2012年3月、「地球のたまご」に、新たに「フォルクスS|Pro」のモデルハウスが建設された。これは、「OMクワトロソーラー」システムを採用したゼロエネルギー住宅である。

 従来の「OMソーラー」システムは、太陽熱、風、緑など自然の力を活用するパッシブ型のエコハウスであった。その「OMソーラー」システムに、太陽光発電(太陽電池)、高効率エアコン、LED照明機器を付加すると「OMクワトロソーラー」システムになる。すなわち、パッシブ型をベースに、アクティブ型の技術を加味した、ハイブリッド型のエコハウスである。

 延べ床面積120m2、静岡県浜松市に建つ住宅を想定すると、光熱費を負担しなければならない消費エネルギー(単位はMJ/年)は次のようになる。

 (1)「次世代省エネ基準住宅+α」(エアコン、ガス給湯器を装備)――冷暖房2万7000、給湯1万6000、照明1万、その他3万1000、合計8万5000。

 (2)「OMソーラー提案住宅」((1)省エネ住宅に、OMソーラー、高効率エアコン、太陽熱利用エコキュート、LED照明機器を付加)――冷暖房7000、給湯3000、照明6000、その他3万1000、合計4万7000。

 (3)「OMクワトロソーラー住宅」((2)住宅に、太陽電池モジュール3.92kWを付加)――光熱費はすべてゼロ。

 「OMクワトロソーラー」システムを採用した「フォルクスS|Pro」は平面が6×6mの総3階建てで、延べ面積が108m2の4人家族用の都市型住宅。税抜きで2300万円(坪単価70万円)からと、大手住宅メーカーの最新モデルと競合する価格帯になる。  (細野透)

 ※ほその・とおる=建築&住宅ジャーナリスト。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了。工学博士、1級建築士。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、06年からフリーで活動。著書に、『ありえない家』『耐震偽装』『東京スカイツリーと東京タワー』ほか。

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