旬な作品 住宅レビュー (79) 細野透 × 殿木真美子 志木市の大規模複合開発 〝便利なバス便〟が評価 「志木の杜テラス」 総合地所、長谷工コーポレーション
住宅新報 2012年7月17日 号 10面

都心のベッドタウンとして発展した東武東上線「志木」駅は、文教都市としても知られている。
有名私大の附属高校が2校あるほか、全国に先駆けて小学校低学年の少人数学級を導入するなど、公教育の施策も進む。
「志木の杜テラス」(埼玉県志木市柏町1丁目、総戸数257戸)は、そんな志木の町を流れる新河岸川と春の桜並木で有名な柳瀬川の合流地点に建つ。
敷地は、以前工場だった6万m2もの土地を長谷工コーポレーションが買い上げ、既にオープンしている大型スーパーやホームセンター、認可保育園を誘致。また、高齢者福祉施設の誘致と提供公園の整備も予定されており、幅広い世代が暮らす町としての機能が揃う。
同敷地内には、総戸数319戸の「志木の杜レジデンス」が今年3月に竣工済みで、どちらも南東側と南西側を向いたV字型の外観を持ち、坪単価は同じ125万円。「テラス」は「レジデンス」より平均専有面積を狭くすることで、グロス価格を抑えた。
駅からは徒歩約20分。いわゆるバス便物件である。
バス便物件には安い、広い、住環境が良いといったメリットがある。志木駅前のマンションは坪単価200万円前後。「テラス」の坪単価と比べると、その差は大きい。
しかし、それでもマンションは立地で決まる、といわれる中で、駅から遠いのは確実にネックだ。
「本物件はバス便であることが一番のデメリット。しかし、バスに乗れば複合開発による利便性を享受できる、つまり〝便利なバス便〟物件なのです」と語るのは、総合地所分譲事業本部分譲事業第一部部長の土田晃氏。
大型商業施設、保育所、公園などどれかひとつ隣地にあるだけでも「売り」となるが、今回のような大規模複合開発ではその全てが同じ街区に揃う。土田氏はこれを「圧倒的相乗効果」と呼んでいた。
また、志木駅東口から最寄の「市場坂上」バス停までの所要時間は約5分、そこから徒歩5分ほどで現地へ到着する。朝7時台に24本、8時台には21本、夕方もほぼ同数程度と、バスの本数が多いこともプラスに影響しているようだ。
ところで、本物件は専有部の設備・仕様やプランなどのセレクトシステムにも特徴がある。「E|label(えらべる)」というセレクトシステムを設け、プランからより細かいアイテムまでを選択できるようにしているのだ。
例えばプランのセレクトでは、玄関がスタンダードとワイドの2種類、収納が3種類、リビングが和室、ワイド、ウォールドア付き可変プランの3種類ずつ用意されている(一部有償)。
アイテムでは、珪藻土クロス、通風に配慮したガラリ付き建具、ペット用のドアなど後から変更するのが難しいアイテムが豊富。全て有償だが、マンション購入の際に20万円分のポイントが付与されるほか、追加費用を住宅ローンに組み込むこともできる。
第1章1次50戸の販売は既に終了し、現在は第1章2次を販売中。現在までの来場者数は約300組で、30代のファミリーが圧倒的に多いという。
設計・施工は長谷工コーポレーション。専有面積は73~94m2、竣工は13年3月中旬を予定している。
(殿木真美子)
※とのき・まみこ=住宅ジャーナリスト。「ゆとり生活」をテーマとする雑誌の編集者を経て、05年から住宅分野に注力。新築・中古を問わず、年間数十件ベースでマンションを取材。〝主婦目線〟を心掛ける。

















