今週の糸口 中古住宅市場拡大をどう実現するか
住宅新報 2012年6月19日 号 13面
連載: 今週の糸口
不動産流通市場活性化フォーラムの全7回にわたる会議が終了し、6月末にも正式提言が公表されることになった。6月12日の最終会議で示された提言(案)は、大きく3分野、5つの柱で構成されている(1面参照)。
フォーラム委員の一人である長嶋修・さくら事務所社長は「かなり活発な議論が展開され、国交省の本気度も伝わってくる意義のあるフォーラムだった」と振り返る。そして「問題は提言された内容を、今後どうやって実現していくかだ」と表情を引き締める。
5つの柱のひとつである「宅地建物取引業者と従業者の資質向上」を実現する手段としては、(1)教育・研修制度の充実(2)従業者の基礎的能力・知識の向上(3)従業者のモチベーションの向上――の3つが挙げられている。
注目すべきは、(3)について「一般従業者・現場の営業マンに向けた研修制度を構築する」とあることだ。これは、本紙が、かねてから主張している営業マン全員資格制度の創設にもつながる。フォーラムの第4回会合では、営業マン全員が取得すべき公的資格制度の創設が委員から提案された。長嶋氏もその意向だ。
案本文では「研修制度は、現場のニーズに即した実践的な内容とするため、まずは業界内の自主的な取り組みとして推進すべきである」としている。全宅連が今年度創設する一般従業者向け教育制度などに期待がかかる。
不動産流通市場活性化のためには、このほかの施策も着実に実行していく必要がある。ただ、フォーラム全体を通じて感じるのは、売主側に対するインセンティブやバックアップ態勢の弱さだ。
中古住宅をローン返済途上で売るためには、ローンの残債以上の資産価値(売却価格)が見込まれなければならない。つまり、市場活性化のためには、中古住宅の資産価値をどう維持していくかという視点が欠かせない。
更に言えば、中古住宅価格の上昇なくして、市場規模を2倍に拡大することが本当に可能なのだろうかという素朴な疑問がある。
そのための一つの手段が、住宅の長寿命化(正式提言では60年以上を目指す文言が盛り込まれる可能性がある)だが、その前に建物価値の維持が土地価格の維持につながる評価制度の確立こそ重要ではないか。
今から100年後には日本の総人口は4700万人程度まで減少するとみられている(中位推計)。つまり、これから建てる住宅が寿命100年を目指すとすれば、人口が明治時代後半の水準になっていくことを前提にした資産価値の維持・向上策を、真剣に模索しなければならないということだ。 (本多 信博)

















