注目度高まるスマートマンション 独自の見える化や料金プラン… データ活用サービスも
連載: 環境特集
補助金で普及促進 経産省
3分の1を助成
MEMSは、『マンションの建物内で使用する電力消費量などを計測蓄積して、導入拠点や遠隔で見える化しつつ、空調や照明設備などの接続機器の制御や電力需要のピークを抑制・制御する機能などをもつシステム』と定義される。

スマートマンションのイメージ
経産省の補助事業は、そのシステムを使って見える化などのサービス(エネルギー管理支援サービス)を行う事業者(MEMSアグリゲータ)が導入する機器が対象になる。新築・既存とも対象で、システム導入費用の最大3分の1を補助する。今年度は130億円の予算が計上されており、100戸規模のマンション800棟に導入を進める方針だ。補助対象となる機器を提供するMEMSアグリゲータは9月10日時点で24社が選定されている。
また、経産省は14年度も同様の補助制度を実施したい意向だ。このほどまとめた14年度予算概算要求に83億円を計上。14年度は600棟程度への導入を目標に掲げている。
MEMSを導入することで受けられる居住者のメリットは何か。1つは前出のエネルギー消費量の見える化が挙げられる。住戸ごとのエネルギー使用量はHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)が把握。リアルタイムで使用状況を表示することで節電意識が高められ、電気代削減行動につながることが期待される。物件によっては、マンション内での省エネ状況をランキング表示するなど、楽しく節電行動が出来るよう工夫を凝らした見える化を行う例もある。
設備連携で利益増

太陽光発電や蓄電池とMEMSが連携することで、災害時の自立的な電力供給などができる
居住者メリットでは、他の機器との連携も重要な要素になる。太陽光発電システムや蓄電池との連携はその1つ。MEMSがそれらを自動制御することで、例えば停電時でも一定程度自立的な電力供給が続けられる。これは居住者の安心・安全につながると言える。
また、アグリゲータが電力会社から単価の安い高圧電力をマンション1棟分仕入れ、各住戸に小売りする一括受電や、30ごとなどの自動検針が可能なスマートメーターとの連携は、直接の経済的メリットを生む。一括受電で一定程度電気代が削減されるほか、物件によっては、独自の電力料金サービスが提供されているものもある。
具体的には電力需要が多い昼間は高く、少ない夜間は低い単価の時間帯別料金や、同時使用電力に応じて単価を3段階に設定して家電の同時使用を控えることで、割安な電気代になる仕組みなどが見られる。
そのほか、電力需給のひっ迫が予想される夏・冬の一定の時間帯に節電を要請して、それに応じると翌月の電気代を割り引くデマンドレスポンスサービスなどが提供されている例もある。
このデマンドレスポンスサービスの1つとして、近隣商業施設の優待券などを発行して、外出誘導することで節電につなげる仕組みも、実証実験などの形で見られる。
HEMS価値向上へ
一方で、エネルギーマネジメント設備の普及を巡っては、HEMSが把握する家庭のエネルギー利用情報を活用した新たなサービス構築の必要性が指摘されている。
三井不動産レジデンシャルが東京都新宿区で開発を進めているマンションは、入居が始まる14年1月からHEMSを活用したサービスが始まる予定だ。
例えば、キッチンの電力使用量が少なければ、HEMSが外食の多い家庭と判断してレストランの優待券を発行する。逆に使用量が多ければ、自炊が多いと判断して食材の販売優待サービスを提供するイメージだ。
エネルギー利用情報を基に提供できるサービスとしては、このほか、高齢者の見守りやセキュリティも指摘されるところだ。HEMSを生かして提供できる居住者に求められるサービスは何か。各地で実証実験などの形で模索が続いている(別掲)。
富士経済が13年4~6月に行った調査によると、見守りやセキュリティなどを含めたHEMSを活用した家庭向け有料サービスの市場は12年時点で1億円。これが2020年には30億円に伸びると予測する。
同社は、「HEMSの普及には新サービスの登場が必須で、各社が検討を重ねている。今後、HEMSで収集した家庭のエネルギー消費データを活用したビジネスの可能性が高まる」と指摘しており、今後の動向に注目が集まる。
評価制度創設でブランド化 販売促進のPRツールに
経産省がスタート

スマートマンション評価制度のロゴマーク例。その機能を有する場合、☆が塗りつぶされる
経済産業省は8月、スマートマンションの評価制度をスタートした。スマートマンションのブランド化が目的。同省が行うMEMS導入費用の補助事業(スマートマンション導入加速化推進事業)で認定された物件を対象に、スマートマンションを構成する設備やサービスについて、導入・実施されているか否かを評価する。
経産省は、認定マークなどを通じて、一般消費者に分かりやすく周知することで、同マンションの普及拡大を図りたい考え。住宅情報誌やマンションの販売促進チラシ、ホームページ、モデルルームなどで活用されることを期待している。
スマートマンション評価制度は、エネマネやデマンドレスポンス(DR)、独自料金システム、創蓄連携、家電制御の5項目で構成する。「エネマネ」は共用部や専有部の電力需要の見える化。「DR」は、電力需要のピークシフトやピークカットを促すサービス。「独自料金システム」は時間帯別料金などの提供、「創蓄連携」は太陽光パネルや蓄電池などと連携されているものだ。「家電制御」は遠隔からエアコンや照明などの制御ができることを示す。
認定マークは、設備やサービスが導入されている場合は、☆マークが塗りつぶされる。5項目すべてを満たすと、☆マークが太枠になる。
新たな見える化やサービス提供へ 横浜市内で実験進む
HEMSを活用して、居住者に無理のない節電を促す仕組みやサービスの構築に向けては、各事業者などで模索が続いている。横浜市が進める地域レベルでのエネルギーマネジメントシステムの確立などを目指す横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の一環として、大京アステージが行う実証実験はその1つだ。同社が横浜市内で管理するマンション4棟約130世帯で進めている。
同実証実験の特徴の1つが、エネルギー消費量の見える化だ。実験参加世帯を世帯人数や就業人数を基にグループ分けしたうえで、自宅と同グループの平均値とが1時間ごとに比較できるよう表示している。同じライフスタイルと想定される家庭と自宅との相違が確認できる。また、独自の解析に基づいて省エネ度を偏差値で示すランキング表示も行っている。
一方、サービスとしては電力消費状況を分析して、エアコンの効率が落ちていると判断すれば、クリーニングサービスや、より効率の良いエアコンを紹介する形などを行っている。遊園地やレストランのクーポンを発行することで、節電につなげる外出誘導の効果も検証している。
同実験は、14年度までの予定。14年度の実験に向けては、「健康や美容」をテーマにした新サービスの提供を検討している。





















