不動産鑑定士レター マクロで見た日本経済 直近20年世界視点からの低成長
住宅新報 2024年10月1日 号 3面
連載: 不動産鑑定士レター

不動産鑑定士が土地建物の価格を求める際は、いわゆるトップダウンアプローチによって真の価格に迫ります。対象となる不動産の個性や属する地域を分析する前提として、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える一般的要因を分析します。中でも経済的要因は、不動産鑑定士試験でも論文式試験に経済学があるなど、かなり重要と考えられるため、マクロ経済について所感を記したいと思います。
直近(24年8月)の内閣府・月例経済報告の最初のページは、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される」と記載され、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」いわゆる日銀短観の直近(24年6月)の業況判断DIは中小企業の製造業のみマイナス1のほかは、全てプラスの値となるなど、政府・日銀の指標ではそれほど悪くない印象です。
各国の長期のデータを比較すると、国連の「National Accounts(AMA)」における01年と比べた20年の名目GDP(国内総生産)の日本は97年比で1.16倍です。一方、アジア・オセアニア地域で低くても韓国が3倍、インド、タイ、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアが4倍前後、中国、インドネシアは5倍以上です。北中南米地域では、低くても米国、カナダで2倍前後、チリ、ブラジルで3倍前後です。欧州地域では、低くてもイギリス、イタリアで1.6倍強、スウェーデン、スペイン、ドイツ、フランス、ポルトガルで2倍前後と、直近20年でみても日本の経済成長の度合いは相当低くなっています。























