廣田 信子の紙上ブログ No.425 マンション管理応援歌 遺言書、緊急連絡先の意味するところ
住宅新報 2024年7月23日 号 5面

子供のいない一人暮らしの高齢者が、遺言書を残し遺言執行人に依頼することが、ご本人の意思を尊重し、管理組合の区分所有者変更も円滑にいくことをお話しました。
でも、実際は、何の遺言もなく亡くなられてしまうことが多いのです。夫が認知症状態になり、その世話をしていた妻が急に亡くなってしまうことがあります。子供がいなければ、認知症の夫が亡くなられた場合、成年後見人を付けて行わなければなりませんが、その辺にも管理組合は関わらない訳にはいきません。
夫が認知症になる前に、遺言書を作成してくれていたらと理事長は言います。管理組合は管理費等の支払いも滞りますから区分所有者がいない状態を放置できません。手間を掛け調べても、結果は、すべての親族が相続放棄をすることもあります。遺産があるのに、なぜ相続放棄をするのかというケースもありますが、お墓の問題やその他の借入金の状態が分からないので相続放棄をしてしまうのです。
それでも、区分所有者の死を管理組合が把握している場合は、まだいいのですが、区分所有者が亡くなったことすら知らされないケースもあります。一人暮らしの高齢者の方の滞納が続いて、郵便物はきちんと回収しているので、施設等に入っているのかと思いました。緊急連絡先の記入がないため、仕方がなく理事長名で住民票を郵送請求(滞納明細、不動産謄本、管理者資格書、運転免許者のコピーを添付)したら、なんと「住民除票」が送られてきて本人の死亡を確認したというのです。
長年縁がなかったら
本籍地を確認して何回かの転籍の中で子供がいたことが判明。その子供の住所を調べて対応しなければなりません。なぜ、その子供が管理組合に死亡を届けず、そのままにしておいたのか…ですが、そのことに詳しい方が言います。「長年縁がなかった親の死亡を知って、親がどんな暮らしをしていたかも分からないので、郵便物に借金の督促状がないかどうかを確認したんだろう。管理費等の督促状を除いて、他に何もなかったので、このマンションを相続することにしたのでは…」と言います。
亡くなった方が、緊急連絡先に子供のことを記載してくれていれば、こんな大変なことにはならなかったはずだと思ってしまいます。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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