2023 宅地建物取引士受験セミナー (1)
住宅新報 2023年1月17日 号 11面

【問題1-1】
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)未成年者AがBに金銭を貸し付けている場合、Aは親権者の同意を得なくても、Bから当該貸金の領収をすることができる。
(2)成年被後見人Cが自己所有の土地についてDと売買契約を締結した当時完全な意思能力を有していたときは、Cは当該売買契約を取り消すことができない。
(3)未成年者Eの法定代理人Fが被保佐人である場合、Fが、Fの保佐人の同意を得ずにEの法定代理人としてEの不動産を売却したときは、Eは当該売却行為を取り消すことができる。
(4)被補助人Gが所有する事務所を補助人Hが売却する場合、Hは家庭裁判所の許可を得なければ、当該売却をすることができない。
【問題1-2】
AからB、BからCへとA所有の甲地が順次売買された場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Aが差押えを免れるため、Bと通謀してBに登記を移転した場合、Cが善意であれば、Cからさらに甲地を買い受けたDが悪意であっても、DはAの甲土地の返還請求を拒むことができる。
(2)AがBの強迫により甲地を売却し、Bが甲地をCに売却した場合、AはCが善意でかつ過失がなくても、Cに甲地の返還を請求することができる。
(3)Aの意思表示が意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであり、その錯誤がBとの売買契約の目的及び取引上の社会通念に照らして重要であるときは、その意思表示を取り消すことができるが、AはCが善意でかつ過失がないときは、その意思表示の取消しをCに対抗することができない。
(4)AB間の契約がBの詐欺による場合、Aに重大な過失があれば、Aは、AB間の契約を取り消すことができない。
【問題1-3】
AがBの委任状を偽造してBの代理人としてCにBの所有の甲土地を売却する契約を締結し、移転登記をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Cは、Aに代理権がないことを知っていた場合でも、Bの追認がなされるまでの間であれば、当該売買契約を取り消すことができる。
(2)Bが当該売買契約を追認すると、当該売買契約は、別段の意思表示がない限り、当該追認の時から、その効力が生じる。
(3)Bが異議をとどめないでCから代金を受領した場合でも、Bは当該契約の無効を主張することができる。
(4)Bが死亡しAが単独でBを相続した場合、Cは甲土地の所有権を当然に取得することができる。
【問題1-4】
次の記述のうち、民法の条文に規定されていないものはどれか。
(1)条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意又は過失によってその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる旨。
(2)債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない旨。
(3)当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる旨。
(4)悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない旨。
【問題1-5】
時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているはどれか。
(1)時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判することができない。
(2)催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
(3)時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を始める。
(4)債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
【問題1-1】 正 解 (3)
(1)は誤り。
貸金の領収は、債権が消滅することになり、単に権利を得る行為に当たらず、親権者の同意を得なければ貸金の領収をすることができない。民法5条1項。
(2)は誤り。
成年被後見人が法律行為を行った当時、完全な意思能力を有していても当該法律行為を取り消すことができる。同法9条。
(3)は正しく、正解。
被保佐人Fが保佐人の同意を得ないで、未成年者Eの法定代理人としてEの不動産を売却した場合、本人であるEもその行為を取り消すことができる。同法120条1項。
(4)は誤り。
成年後見人、保佐人、補助人が制限行為能力者の居住用建物・敷地について売却等を行う場合は、家庭裁判所の許可を得なければならないが、事務所を売却する場合は家庭裁判所の許可は必要ではない。同法859条の3、876条の10。
【問題1-2】 正 解 (4)
(1)は正しい。
通謀虚偽表示がなされた場合、いったん善意の第三者Cが登場すれば、その後の転得者Dが悪意でも、転得者Dは、第三者Cの地位を承継して保護される(大判昭6.10.24)。したがって、DはAの甲土地の返還請求を拒むことができる。民法94条。
(2)は正しい。
強迫による意思表示の取消しは善意でかつ過失のない第三者にも対抗することができる。同法96条の反対解釈。
(3)は正しい。
意思表示が意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであり、その錯誤が法律行為の目的及び社会通念に照らして重要であるときは、その意思表示を取り消すことができるが、その意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。同法95条1項・4項。
(4)は誤りで、正解。
相手方が詐欺を行った場合は、表意者は常に意思表示を取り消すことができる(同法96条1項)。重大な過失があった場合も取り消すことができる。錯誤による意思表示と区別すること(同法95条3項)。なお、詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者には対抗できないことに注意。
【問題1-3】 正 解 (4)
(1)は誤り。
本人の追認がなされるまで、その契約を取り消すことができるのは、相手方(C)が善意の場合に限られる。民法115条。
(2)は誤り。
追認は、別段の意思表示のないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生じる。同法116条。
(3)は誤り。
同法113条の追認には黙示の追認も含まれ、売買代金の受領はこれに該当するので、Bは無効主張できない。なお、125条の法定追認は取り消しできる行為についての規定であり、無権代理行為の追認には類推適用されない。最判昭54.12.14。
(4)は正しく、正解。
無権代理人が単独で本人を相続した場合、本人が自ら法律行為をしたものと同一の効果が生じる。したがって、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。同法113条、117条、最判昭40.6.18。
【問題1-4】 正 解 (1)
(1)は規定されていないので、正解。
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が「故意」によってその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。過失の場合は適用されない。民法130条。
(2)は規定されている。
債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。同法412条の2。
(3)は規定されている。
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。同法536条1項。
(4)は規定されている。
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。同法509条1項。
【問題1-5】 正 解 (4)
(1)は正しい。
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判することができない。民法145条。
(2)は正しい。
催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでの間は、時効は完成しない。同法150条1項。
(3)は正しい。
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を始める。同法152条1項。
(4)は誤りで、正解。
債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から「5年間」行使しないときは、時効によって消滅する。同法166条1項1号。
























