トータルブレインのマンション最前線 コロナ禍で郊外物件が好調 好立地との価格差にシビアな目
住宅新報 2021年7月13日 号 5面
トータルブレインはこのほど、「コロナ禍の郊外マンション市場」と題したレポートをまとめた。コロナ禍による在宅時間の増加に伴い、賃貸住宅入居者の住宅取得志向が高まっており、昨年来郊外物件の販売状況が好転。そうした動きを受け、現在の市場動向と課題を分析している。
郊外マンションのニーズを支えているのは、都心や東京隣接県の主要エリアと比較した場合の価格差だ。同社が過去10年のデータを基に都心好立地と郊外部を比較したところ、都心好立地では平均坪単価が55%上昇したことに対し、郊外部では35%上昇にとどまる。戸当たり平均価格で見ると、10~12年に1200万円程度だった価格差が、19~20年には2600万円程度まで拡大。高騰の著しい都心物件と比べ、平均専有面積が10%程度広いこともあり、割安感や買いやすさが際立っている。
コロナ禍以前は利便性重視志向が強かったことから、最寄り駅の利便性が低い、または駅から遠いといった不利な立地の物件は、割安でも販売に苦戦する物件は少なくなかった。それが、コロナ禍により「不便なら買わなくてもよい」から「不便でも買える範囲の物件を探す」へと実需層の行動が変化した結果、現在の販売好調につながっている様子だ。
更に、同社が近年の郊外物件のデータを集計・分析したところ、住宅取得者のより具体的な志向が浮かび上がった。1つは競合する好立地物件との価格差。例えば駅至近の物件と、同駅からバス便の物件などを比べた場合、同社杉原禎之副社長は「1500万円程度の価格差があれば順調な売れ行きを見せている。また生活利便性も重要で、近隣に大型商業施設などがあれば300万円程度の価格差に相当する」と話す。
また他物件との比較だけでなく、絶対的な戸当たり価格の重要度も高まっている。コロナ禍と景気低迷で収入の伸び悩む実需層にとって、購入できる物件の価格にはおのずと限界があるからだ。
それにより、購入検討者の検討する物件の範囲も拡大している。購入者の属性を見ると、以前と比べ物件の地元に居住する人の割合は減少。「自分が買える物件」を探して検討範囲を広げている現状を示しており、これも郊外物件市場活性化に一役買っている。そして地縁のないエリアに対しては検討者の判断が一層厳しくなり、価格競争力の重要度が増す結果にもつながっている。
では、コロナ禍がある程度の収束を見せた場合、郊外マンション市場の活況も落ち着くのか。杉原副社長は「これだけ高まった持ち家志向は、そう簡単には下火にならないと思う。ただし販売価格が上がってしまえば、実需層は現実的に購入できなくなるので市場も縮小するだろう」と見通しを話す。加えて、価格競争力を重視するあまり、事業者が設備仕様の水準を下げる可能性を懸念する。価格による訴求力は重要ながら、物件の品質を維持する工夫もディベロッパーには求められていく模様だ。





















