トータルブレインのマンション最前線 郊外マンション事業分析 テレワーク族など新ターゲット開拓を
住宅新報 2019年11月12日 号 5面
マンションコンサルティングのトータルブレインはこのほど、「再び郊外マンション事業」と題したレポートをまとめた。近年、マンションディベロッパーはホテルや商業施設、オフィスビルといった収益物件開発用地と競合するため、東京都内・都心部での用地仕入れで苦戦が続いている。そこで今、郊外に再び目を向け始めているという。今回のレポートでは、郊外の市場変化と現状を分析。更に郊外で成功している事例を検証し、事業判断ポイントとして8点を挙げた。
供給は3分の1に
まず、郊外(都下・神奈川・埼玉・千葉)マンション市場の変化について。どのエリアも近年の供給量は年間3000~4000戸程度で、00年代前半(1万~1万2000戸)の3分の1程度に減少している。そのため需給バランスは良好だとしている。平均価格は00~14年まではおおむね横ばい、またはやや上昇傾向だったが、15年以降は大幅上昇を続け、直近では00年比50~60%の上昇となっている。上昇の要因は、駅近など好立地化が進んでいること、大手(三井不、三菱地所、住友不、野村不)の供給が増加したことが考えられるという。物件の戸数規模は100戸台、200戸超の大型物件が増えている。販売ペースは遅く、各物件とも時間をかけて販売していくスタンスになっているのが特徴だ。
続いて、郊外での好調物件を分析すると、東京都下では近年は価格上昇が大きい中、「駅距離」または「価格(割安感)」のどちらかが好調の必須項目となっている様子がうかがえる。神奈川は「駅力」または「駅距離」が必須項目。ただ、駅近でない場合は「価格(割安感)」が重要。つまり駅距離は価格の割安感でカバーできているという。埼玉もほぼ同様の傾向。商業施設が至近の好調物件も多い。千葉は「駅力」と「駅距離」の両方がそろった物件が好調だった。
4000万円台まで
更に同レポートでは、郊外マンション事業判断の重要ポイントとして次の8点を挙げている。(1)「半径1.5キロ圏の民力」=メインターゲットとなる、計画から1.5キロ圏の借家世帯数や賃貸マーケットボリューム、平均年収といった地元マーケットの消化能力の見極めと、そこから見た戸数規模(売れる戸数)の判断がポイント。(2)「需給バランス」=近年供給が少ない、同条件(駅距離・商品性)の物件がなかった、などの需給バランスが良いエリアは狙い目。(3)「割安感」=郊外の子育て一次取得者層の購入体力は4000万円以下であり、比較的人気エリアでも4000万円台までが予算のボリュームゾーン。面積を絞ってでもグロス価格を守る(絞る)必要がある。(4)「駅近立地と生活利便性」=駅徒歩7、8分程度までが望ましいが、それ以上の場合は、競合の有無や買い物施設の有無といった駅遠立地をカバーする要素が必要。(5)「良いバス便」=運行本数が多い、交通渋滞がないといったポイントが重要。(6)「ファミリー・コンパクト両面」=ターゲットは子育てファミリーだけではなく、都心の高価格化したコンパクトタイプに手の届かないシングルやディンクス層、駅遠からの住み替え層などにもターゲットを拡大。(7)「戸建て住宅に対する競争力」=郊外は戸建てニーズが強いため、周辺の建売戸建てに対する差別化、競争力が必要。(8)「ターゲットの多様化」=アクティブシニア層、戸建て買い替え派、テレワーク族(サテライトオフィス勤務、在宅勤務)など、郊外での多様な新しいターゲットの開拓と、そこに向けた商品開発が必要。





















