2018宅地建物取引士受験セミナー (2)
住宅新報 2018年1月30日 号 8面
【問題1-6】
相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、民法の規定と異なる慣習については考慮しないものとする。
(1)土地の所有者は、境界付近に建物を建てるために必要であれば隣地の住家への立ち入りを請求することができ、もし、隣人が承諾しない場合、判決をもって承諾に代えることができる。
(2)袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、公道に至るための他の土地の通行権を主張することができる。
(3)隣地の竹木の根が境界線を越えて入ってきた場合、その土地の所有者はその根を自ら切り取ることができる。
(4)土地の所有者は隣地の所有者と共同の費用で境界標(境界を標示する物)を設置することができ、その設置工事の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
【問題1-7】
抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)土地について抵当権が設定された後に土地の所有者が建物を新築した場合、抵当権者は土地とその建物を一括して競売し、その競売代金全額から優先弁済を受けることができる。
(2)抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、その代価が抵当権の被担保債権の額に満たないときでも、その債権は消滅する。
(3)建物と土地に対する賃借権については、その登記があれば、その賃借権の上に抵当権を設定することはできる。
(4)土地賃借人所有の地上建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り、当該建物の所有に必要な賃借権に及ぶ。
【問題1-8】
A及びBが、CとCの所有地について売買契約を締結し、連帯してその代金6,000万円を支払う債務を負担している(AとBの負担部分は平等である)場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤ってものはどれか。
(1)CはAとBに対して、同時にそれぞれ6,000万円の支払いを請求することができる。
(2)CがAに対し6,000万円の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。
(3)AがCに対して6,000万円の債権を有している場合でも、Aは自己の負担部分である3,000万円を超えて相殺することができない。
(4)CがAに対して債務の全額を免除すると、Bは3,000万円について債務を免れる。
【問題1-9】
契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)AがBに甲建物を売却し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲建物をCに賃貸し引渡しも終えた後、AがBとの売買契約を適法に解除したときは、Aは当該賃借権の消滅をCに主張することができる。
(2)解除後の原状回復において、AがBに返還すべき金銭があるときは、AはBからその金銭を受領した時からの利息を付さなければならない。
(3)AがBCと締結した契約を解除する場合、AはBのみに対し解除の意思表示をすることができない。
(4)AのBに対する債権が、履行期到来以前に履行不能が判明した場合、Aが契約を解除するには、履行期まで待つ必要はない。
【問題1-10】
宅地建物取引業者A社の被用者Bが、A社所有の車を使って営業活動中に通行人Cをはねて負傷させてしまった場合に関する次の記述のうち、民法の規定、判例及び以下の判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文)
使用者責任が成立する場合でも、被用者は独立して民法第709条による責任を負い、両者の責任は、いわゆる不真正連帯債務の関係に立つ。
(1)この事故の発生について、Bに故意も運転上の過失もなかった場合でも、A社は使用者としての損害賠償責任を負う。
(2)A社がBの不法行為について、Cに対して使用者責任に基づく損害賠償をした場合、A社は、常にBに対してその全額を求償することができる。
(3)この事故の発生について、Bのほか、通行人Cにも過失があると判断された場合、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
(4)A社がBの不法行為について、Cに使用者責任を負う場合に、CのBに対する損害賠償請求権が消滅時効にかかったときは、A社のCに対する損害賠償債務は当然に消滅する。
【問題1-6】 正 解 (1)
(1)は誤りで、正解。
隣地の住家の中には隣人の承諾がない限り立ち入ることはできない。民法209条1項。
(2)は正しい。
袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても公道に至るための他の土地の通行権を主張することができる。同法210条、最判昭47.4.14。
(3)は正しい。
竹木の根が境界線を越えるときは、その土地の所有者はその根を切り取ることができる(同法233条2項)。なお、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その枝を隣人に切除するよう請求することができるだけであることに注意。同法233条1項。
(4)は正しい。
境界標設置工事の費用は、相隣者が等しい割合で負担する(同法224条1項)。なお、測量の費用は土地の広さに応じて分担しなければならないことに注意。
【問題1-7】 正 解 (4)
(1)は誤り。
土地について抵当権が設定されたのちに土地の所有者が建物を新築した場合、土地と建物を一括して競売することはできるが、優先弁済を受けることができるのは土地の代価のみである。民法389条1項。
(2)は誤り。
債権が消滅するのではなく、代価弁済者との関係で抵当権が消滅するのみである(同法378条)。債務者に対して残額を請求することができる。
(3)は誤り。
民法上、抵当権を設定することができるのは、不動産又は地上権及び永小作権のみである(同法369条2項)。賃借権は、たとえ登記をしても抵当権を設定することはできない。
(4)は正しく、正解。
土地賃借人所有の地上建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り当該建物の所有に必要な賃借権に及ぶ(最判昭40.5.4)。
【問題1-8】 正 解 (3)
(1)は正しい。
連帯債務における債権者であるCは、A・Bに対して同時に代金の全額の支払いを請求することができる。民法432条。
(2)は正しい。
請求は絶対的効力を有する。CがAに対して代金の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。同法434条。(3)は誤りで、正解。
AはCに対して、請求を受ければ全部を支払わなければならない立場にあるので、自己負担部分を超えて相殺することができる。同法436条1項。
(4)は正しい。
連帯債務者の1人に債務の免除をした場合その負担部分について他の債務者も債務を免れる。同法437条。
【問題1-9】 正 解 (1)
(1)は誤りで、正解。
建物の賃借権は、登記がなくても建物の引渡しがあったときは対抗力を生じる(借地借家法31条1項)。Cは民法545条1項但書により契約解除の際に保議されるべき第三者となる。Aは賃借権の消滅をCに主張することができない(最判昭33.6.14)。
(2)は正しい。
解除権が行使されたときは、各当事者はそれぞれが原状回復の義務を負い、返還すべき金銭がある場合には、それを受領した時点から利息を付さなければならない。同法545条2項。
(3)は正しい。
当事者の一方が数人である場合、契約の解除はその全員より又はその全員に対してのみ行うことができる。同法544条1項。
(4)は正しい。
履行期到来以前に不能が判明した場合、履行期前でも解除することができる(同法543条)。
【問題1-10】 正 解 (3)
(1)は誤り。
A社の使用者責任は、Bの不法行為を前提としている(民法715条)。本肢のBには故意も過失もないのだから不法行為は成立しておらず、したがって、A社が使用者責任を負うことはない。同法709条。
(2)は誤り。
使用者が被害者に損害を賠償した場合、使用者は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度においてのみ、被用者に対して求償権を行使することができる(最判昭51.7.8)。同法715条3項。
(3)は正しく、正解。
被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。考慮は義務ではない。同法722条2項。
(4)は誤り。
判決文から、ABの債務は不真正連帯債務の関係に立つ。したがって、使用者が負担する損害賠償債務は、被用者の損害賠償債務が消滅時効にかかったからといって当然には消滅しない(最判昭46.9.30)。
























