2014宅地建物取引主任者受験セミナー (12)
住宅新報 2014年2月4日 号 8面
連載: 宅地建物取引主任者受験セミナー
【問題2-6】
相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、民法の規定と異なる慣習については考慮しないものとする。
(1)土地の所有者は、境界付近に建物を建てるために必要であれば隣地の住家への立ち入りを請求することができ、もし、隣人が承諾しない場合、判決をもって承諾に代えることができる。
(2)境界線から1m未満の所に他人の宅地を見通すことができるベランダを設ける者は、目隠しを付けなければならない。
(3)隣地の竹木の枝が境界線を越えて入ってきた場合、その土地の所有者はその枝を自ら切り取ることができる。
(4)土地の所有者は隣地の所有者と共同の費用で境界標(境界を標示する物)を設置することができ、その設置工事の費用は、土地の広狭に応じて分担しなければならない。
【問題2-7】
抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)土地について抵当権が設定された後に土地の所有者が建物を新築した場合、抵当権者は土地とその建物を一括して競売することができるが、競売代金のうち、建物の代価については、優先弁済を受けることができない。
(2)抵当不動産の所有権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、その代価が抵当権の被担保債権の額に満たないときでも、その債権は消滅する。
(3)建物と土地に対する賃借権については、たとえ、その登記があっても、その賃借権の上に抵当権を設定することはできない。
(4)土地賃借人所有の地上建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り、当該建物の所有に必要な賃借権に及ぶ。
【問題2-8】
A及びBが、CとCの所有地について売買契約を締結し、連帯してその代金4,000万円を支払う債務を負担している(AとBの負担部分は平等である)場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
(1)CはAとBに対して、同時にそれぞれ4,000万円の支払いを請求することができる。
(2)CがAに対し4,000万円の支払いを請求した場合、その効力はBには及ばない。
(3)AがCに対して4,000万円の債権を有している場合、Aは自己の負担部分である2,000万円を超えて相殺することができない。
(4)CがAに対して債務の全額を免除すると、Bは4,000万円について債務を免れる。
【問題2-9】
契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)AがBに解除の意思表示をした場合でも、Aはその意思表示を撤回することができる。
(2)解除後の原状回復において、AがBに返還すべき金銭があるときは、AはBからその金銭を受領した時からの利息を付さなければならない。
(3)AがBCと締結した契約を解除する場合、AはBのみに対し解除の意思表示をすることができる。
(4)AのBに対する債権が、履行期到来以前に履行不能が判明した場合でも、Aが契約を解除するには、履行期まで待たなければならない。
【問題2-10】
宅地建物取引業者A社の被用者Bが、会社所有の車を使って営業活動中に通行人Cをはねて重傷を負わせてしまった場合に関する次の記述のうち,民法の規定、判例及び判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
使用者責任が成立する場合でも、被用者は独立して民法第709条による責任を負い、両者の責任は、いわゆる不真正連帯債務の関係に立つ。
(1)この事故の発生について、Bに故意も運転上の過失もなかった場合、A社は使用者としての損害賠償責任を負うことはない。
(2)A社がBの不法行為について、Cに対して使用者責任に基づく損害賠償をした場合、A社は、常にBに対してその全額を求償することができるわけではない。
(3)この事故の発生について、Bのほか、通行人Cにも過失があると判断された場合でも、裁判所は、必ずこれを考慮して、損害賠償の額を定めなくてはならないわけではない。
(4)A社がBの不法行為について、Cに使用者責任を負う場合に、CのBに対する損害賠償請求権が消滅時効にかかったときは、A社のCに対する損害賠償債務は当然に消滅する。
【問題2-6】 正 解 (2)
(1)は誤り。
土地の所有者は、境界付近で建物等を築造し、又は修繕するため必要であれば、隣地の使用を請求することができる。もし、隣人がそれに承諾しない場合は、判決をもってその承諾に代えることができる。しかし、隣地の住家の中には隣人の承諾がない限り立ち入ることはできない。民法209条1項。
(2)は正しく、正解。
境界線から1m未満の所に他人の宅地を見通すことができるベランダを設ける者は、目隠しを付けなければならない。同法235条1項。
(3)は誤り。
竹木の根が境界線を越えるときは、その土地の所有者はその根を切り取ることができる(同法233条1項)。しかし、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その枝を隣人に切除するよう請求することができるだけである。(4)は誤り。
境界標設置工事の費用は、相隣者が等しい割合で負担する(同法224条)。なお、測量の費用は土地の広さに応じて分担しなければならない。
【問題2-7】 正 解 (2)
(1)は正しい。
土地について抵当権が設定されたのちに土地の所有者が建物を新築した場合、土地と建物を一括して競売することができるが、優先弁済を受けることができるのは土地の代価のみである。民法389条1項。
(2)は誤りで、正解。
債権が消滅するのではなく、代価弁済者との関係で抵当権が消滅するのみである(同法378条)。債務者に対して残額を請求することができる。
(3)は正しい。
民法上、抵当権を設定することができるのは、不動産又は地上権及び永小作権のみである(同法369条)。賃借権は、たとえ登記をしても抵当権を設定することはできない。
(4)は正しい。
土地賃借人所有の地上建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り当該建物の所有に必要な賃借権に及ぶ(最判昭40.5.4)。
【問題2-8】 正 解 (1)
(1)は正しく、正解。
連帯債務における債権者であるCは、A・Bに対して同時に代金の全額の支払いを請求することができる。民法432条。
(2)は誤り。
請求は絶対的効力を有する。CがAに対して代金の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。同法434条。(3)は誤り。
AはCに対して、請求を受ければ全額を支払わなければならない立場にあるので、自己負担部分を超えて相殺することができる。同法436条1項。
(4)は誤り。
連帯債務者の1人に債務の免除をした場合、その負担部分についてのみ他の債務者も債務を免れる。同法437条。
【問題2-9】 正 解 (2)
(1)は誤り。
解除の意思表示はこれを撤回することができない。民法540条2項。
(2)は正しく、正解。
解除権が行使されたときは、各当事者はそれぞれが原状回復の義務を負い、返還すべき金銭がある場合には、それを受領した時点から利息を付さなければならない。同法545条2項。
(3)は誤り。
当事者の一方が数人ある場合、契約の解除はその全員より又はその全員に対してのみなすことができる。同法544条1項。
(4)は誤り。
履行期到来以前に不能が判明した場合、履行期前でも解除することができる(同法543条、大判大15.11.25)。履行期まで待つことは無意味だからである。
【問題2-10】 正 解 (4)
(1)は正しい。
A社の責任は使用者としての責任であるからその前提として被用者に不法行為が成立していなければならない(民法715条)。本肢のBには、故意も過失もないのだから不法行為は成立しておらず、したがって、A社が使用者責任を負うことはない。同法709条。
(2)は正しい。
使用者が被害者に損害を賠償した場合、使用者は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度においてのみ、被用者に対して求償権を行使することができる(最判昭51.7.8)。同法715条3項。
(3)は正しい。
被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して、損害賠償の額を定めることができるのであり、必ずこれを考慮しなければならないわけではない。同法722条2項。
(4)は誤りで、正解。
判決文から、ABの債務は不真正連帯債務の関係に立つ。したがって、使用者が負担する損害賠償債務は、被用者が第三者に対して負担する損害賠償債務が消滅時効にかかったからといって当然には消滅しない。大判昭12.6.30、最判昭46.9.30。
























