今、都会では東京や大阪を中心として「駅中ビジネス」が絶好調な状況にあり、またリニューアルした東京駅が大変な人気を博している。その半面、地方では廃線や乗降客数の減少などによって経営状況は厳しく、廃止される駅や無人駅が増えている。管理が困難な状況に追い込まれているので、鉄道業者としては、地方駅は他の用途でも利用してもらい、ついでに管理もお願いできたら助かるという立場である。しかし、そうした状況下でも様々な工夫をしている駅も数多く見受けられる。昨今の「駅の再利用」について考えてみたい。
全国の駅の数は
公益財団法人国土地理協会の緯度経度付き全国沿線データベースによると、13年時点で駅数は9260件である。このうちJRが約半分を占める。小学校の約2万1500校に比べると意外と少ない。種別は08年時点で、旅客駅・4554駅、委託駅・1708駅、臨時駅・13駅、無人駅・3670駅、停留所駅・569駅である。旅客駅が減少し、委託駅と無人駅は増加傾向にある。
駅活用の現状
駅の活用には大きく分けて次の4つが挙げられる。当然ながら1つに絞られるものではなく、観光と商業とを組み合わせたものなどもある。
(1)観光拠点=有名な駅としては、小さいながらも北海道の旧国鉄広尾線幸福駅があり、現在でも年間約10万人以上の観光客が訪れているとのこと。駅舎は地元町内会が所有するが、帯広市が今秋改築し、十勝観光の核とする予定である。北海道では国鉄手宮線(貨物線)の旧手宮駅・手宮機関区跡地に小樽市総合博物館(元小樽交通記念館・北海道鉄道記念館)がある。
また、山口県のJR山陰本線萩駅はJR所有の無人駅であるが、鉄道記念館となっている。同じく山陰本線仙崎駅には今は移転しているが、一時期「金子みすゞ記念館」があった。同じ山口県のJR岩徳線西岩国駅(駅舎はJRから市に移転。NPO法人が管理している委託駅である)も歴史的価値が建物にあるため、展示室などがある。
(2)商業関連施設=青森県の下北交通大畑線田名部駅跡地には大掛かりな観光物産情報発信基地としての「むつ来さまい館」がある。管理運営は商工会議所で、イベントホールなどがある。北海道ふるさと銀河線足寄駅跡地は「道の駅あしょろ銀河ホール21」が建てられ、レストランや地元特産店の他に松山千春ギャラリーなどがある。ここは鉄路の駅から道の駅へと転身しており、こうしたケースは他にも見受けられる。
(3)福祉関連施設=山口県のJR岩徳線玖珂駅(委託駅)には「高齢者はつらつハウス」がある。
(4)公共関連施設(憩いの場、ふれあい広場など)=広島県のJR福塩線備後三川駅は地元の人の集会場となっている。また、広島県のJR芸備線狩留家駅は社会福祉協議会が借りていて、高齢者交流施設「夢かるが」として利用。山口県のJR山口線日原駅は、郵便局とつながっている。
今後の動向
駅は当然ながら、公共交通拠点として交通アクセスが良く集まりやすいという特徴があり、駐車場スペースも十分に確保されている所が多い。なお、長大な特急列車や寝台列車が無くなってきており、これに伴う駅舎のコンパクト化傾向が見受けられる。今後共に、まちの活性化に向けて自治体や商工会議所、社会福祉協議会や民間などと協力しての駅舎の建て替えや、改修などと合わせての更なる活発な駅の再利用が図られていくものと考える。
(日本不動産鑑定士協会連合会広報委員、富永伸二)






















