人口減にどう対応 「住宅特化型」リートに聞く 大和ハウス・アセットマネジメント社長 山田裕次氏 グループのブランド力生かす
住宅新報 2013年6月18日 号 4面
連載: 住宅特化型リートに聞く

大和リート山田社長
投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配するJリート。しかし住宅系リートは、今後賃貸住宅の主な借り手である若年人口が減少してくるという、大きな課題を抱えている。そのため住宅特化型リートの中には、サービス付き高齢者向け住宅や老人ホームなどに投資対象を広げ始めたところもある。そこで、住宅特化型リートの一つ、大和ハウス・レジデンシャル投資法人の資産運用会社である大和ハウス・アセットマネジメントの山田裕次社長に今後の成長戦略を聞いた。
――日本は少子高齢化が進む。今後、投資対象としてサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどを加えていく考えは。
「現時点で組み入れているものはない。ただ今後は、20年には高齢者数が約3600万人になるなど、この分野の需要は拡大するだろう。そのため、昨年10月には、高齢者向け住宅についての投資方針や基準を定めた。検討している段階だ」高齢者物件も検討
――スポンサーである大和ハウス工業の物件を取得するのか。
「大和ハウスは、20年ほど前からこの分野について研究しており、建築受注実績も多く、介護付き有料老人ホームの運営もしている。現時点では大和ハウスが所有し、外部のオペレーターが運営しているサ高住や有料老人ホームを取得対象として検討している」
――運用資産全体に対して、占める割合は。
「はっきり決めてはいないが、全体の資産規模が今約2200億円なので、その5%となる約100億円程度を上限として投資することを考えている。「投資家の中には、高齢者向け住宅への投資を想定していない人もいる。通常の賃貸住宅とはリスクのありようが異なるため慎重にならざるを得ない。例えば、オペレーター(施設運営事業者)の運営能力が物件の収益力に大きく影響するし、介護保険報酬の改定もある」
――そもそも住宅系リートとして、人口減という課題にどう対処するのか。
「幸いなことに、人口は減少しているものの、世帯数はしばらく増加が続く。それは、単身や2人世帯など小家族が増えるからだ。我々が運用している資産のポートフォリオは、東京23区にあるコンパクトタイプ(60m2以下)が主流であり、こうした傾向とマッチしている。ただ、その先は世帯数が減少するので、シニア向けを考えることは必要だ」
管理サービスで勝負
――若年人口が減少すると、リート間の競争も厳しくなる。対策は。
「大和ハウスグループの総合力を生かす。一つは管理面。今、同グループに管理業務の集約化を進めているところだ。例えばPM(プロパティマネジメント)については、昨年の8月末時点でグループの管理は4.1%だったが、今年の5月末では65.6%まで増えた。これは、管理の効率化に加え、質を高めることにつながる。グループが管理していることを前面に打ち出して、入居者に安心感を持ってもらう戦略だ。ユーザーから『あのリートの物件は、セキュリティ面も安心で、建物もきれい』と思ってもらえればブランド力が高まる」
――特に注力することは。
「入居者サービスの充実だ。例えば、現在125棟・9600戸を運用しているが、グループの管理会社である大和リビングは33万戸の管理戸数を持つ。大和リビングと提携して何かできないか考えている。大和ハウスグループはホテルやホームセンターも運営している。それらとの連携も生かして、グル―プならではの魅力的なサービスを見いだしていきたい」
――賃貸住宅は築年数が経つと、賃料が落ちやすいアセットだが。
「古くなっても新築に負けないように設備の入れ替えや、メンテナンスをしていく。規模のメリットを生かしながら、10年後、20年後を見据えた長期修繕計画を立て、ケースに応じては、思い切ったリノベーションを実施していくことが必要になる。共用部にとどまらず、専有部にも計画的に投資していく」
――リートは安定的に収益を上げていくことが求められている。リノベーションをすることで、下落している賃料を上げることも可能か。
「当然あり得る。場合によってはスケルトンに戻すような大規模修繕や、建て替える可能性も出てくるだろう」
――投資する賃貸住宅の種類として、今後、シェアハウスの可能性は。
「今のところ考えていない。ただ、大和ハウスが名古屋で建築中の大規模な賃貸住宅では、一部をシェアハウスとしたり、老人ホームや保育所を併設する予定となっている。値段が合えば購入したい」 (井川 弘子)





















