不動産鑑定士調停センター 紛争解決のためのQ&A 第13回 相続した共有住宅の家賃の評価は 原価性と市場性から判断
住宅新報 2013年1月29日 号 6面
連載: 紛争解決のためのQ&A
A 長男が自分の持ち分(3分の1)を超えて居住している場合、超えた部分(3分の2)について無償で居住させる契約(使用借権)とか、賃貸借契約を締結していない場合には不当利得、損害金の支払いが問題となります。賃貸借契約を締結しておけばこのような問題は起こりません。このような場合、新規に賃貸借契約を締結することになるので正常賃料を求めます。
正常賃料は積算賃料、比準賃料、収益賃料の各試算賃料を求め、試算賃料の調整と決定を行い、評価額を決定します。収益賃料はあまり一般的ではないので、積算賃料と比準賃料について説明します。
積算賃料は土地、建物の基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費を加算して求める原価性からアプローチする方法です。土地、建物から成る基礎価格と期待利回りは、投資と利回りとの関係にあります。不動産の種類は多様で店舗、事務所、居住用など個別性に富んでおり、収益性とリスクは一様ではないので、対象不動産の適正な期待利回りを求めることは難しいという短所があります。
比準賃料は比隣の代替競争関係にある賃貸事例との比較を行って市場性からアプローチする方法です。客観的な賃料水準を反映する方法ですから、賃料水準を把握しやすい、アパート、マンション、事務所など事例が多数得られる場合は説得力があります。
しかし、賃貸事例が少なく、事例によって賃料の上下の幅が大きな物件の場合には説得力に劣るという短所があります。原価性、市場性からアプローチして各方式の長所、短所を補って建物全体の賃料を求め、他の兄弟の共有持ち分(3分の1×2人分)を乗じて家賃を求めることとなります。
(不動産鑑定士・小谷芳正)
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