常日頃 78回 第5部「私と仕事」(3) 有限会社コンフォール 代表取締役 安藤 泉さん
住宅新報 2011年12月13日 号 8面
連載: 常日頃
05年に「専業主婦が10年連続 入居率99%にしたアパマン経営法」という本を出版し一躍有名に。それから今日まで、『カリスマオーナー』として講演依頼が続く。その賃貸マンション「コンフォール目黒」は、来年1月で築19年になるが、今でも満室を維持している。その秘密はどこにあるのだろうか。
マンション(5階建て・総戸数56戸)は、東急目黒線武蔵小山駅から徒歩8分(東京都目黒区目黒本町5の30の6)の場所。
駅西口を出て大通りを右折し、<目黒区中央体育館入口>交差点を左折して、やや細い道に入る。古い木造住宅や町工場などが立ち並ぶ路地を抜けていくと突然、目の前に瀟洒な外観が飛び込んでくる。敷地内に植えられた4本のケヤキの葉がマンションの外壁に目映く光る。
エントランスを入った瞬間に、満室経営の理由が理解できたような気がした。ホール右側には大きな観葉植物の鉢が並び、左側の壁には、植物の大きな葉を素材にしたレリーフが飾られている。
「賃貸でも、我が家に帰ってきた時、ほっとする感覚が大事」と話す安藤さん。植物が大好きだ。日本庭園風の中庭もある。建物内のちょっとしたスペースに置く生け花は週1回、生け替えをしている。
安藤さんのアパマン経営は3つの理念で支えられている。(1)入居者への快適な住空間の提供(2)キャッシュフローをよくする(3)街の景観に配慮する。(1)では常に時代に合った設備に更新する努力も欠かさない。そのため「(1)と(2)は一見相反するが、そこを両立させていくことが大切」。
キャッシュフローを良くするうえで、一番気をつけなければならないこととしているのが、減価償却費と元金返済の関係だ。
「減価償却費は現金が出ていかないうえに経費となる。それに対し、元金返済は現金が出ていくのに経費にもならない。この2つを折れ線グラフにすると10年目を過ぎた頃にクロス(額が逆転)する、その後返済が終わるまでの期間は帳簿上の利益は増加するのに、現金支出(税金)が増えるので黒字倒産もあり得る」
専業主婦としてアパート経営を始めたが、もともと数字には強く財務を徹底的に勉強したことも成功につながっている。
「キャッシュフローを増やすために、借り入れ資金の金利にも徹底的にこだわった」と言う。100万円支払い利息が減れば、税率20%なら80万円現金が残ることになる。
「街の景観も、極めて重要。コンフォール目黒がある地域は、いわゆる木造密集エリア。下町的情緒はあるが、地主としては新しい建物を建てるときはセットバックするなど、少しでも地域の美観に貢献したい」と話す。
住まいは美しい街並みがあってこそ価値が高まる。3つの経営理念は安藤さんにとって、満室経営を支える『三本の矢』となっている。 (本多信博)





















