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プレミアム会員限定高齢者住宅「サ高住」に注目

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手厚い優遇政策 1年半で11万戸超

 サービス付き高齢者住宅(サ付住宅)が順調な伸びを示している。バリアフリー構造や、福祉や医療の専門家による安否確認や生活相談サービスなどを有した高齢の単身者や夫妻向けの賃貸住宅だ。国土交通省と厚生労働省が、今後増える高齢者の受け皿として、従来の高齢者専用賃貸住宅を制度改正し、2011年10月にスタートさせた。
 サービス付高齢者向け住宅情報システムの調査によれば、登録戸数は今年2月末に全国で10万戸を超え、五月末現在11万1966戸とハイペースで伸びている。(図1)

高齢者住宅「サ高住」に注目

図1:サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(H25.5末時点)
出典 サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム

 急増の背景には、急速に進む高齢化に対応した高齢者向けの住居不足があるが、何と言っても国が打ち出した手厚い優遇制度によるところが大きい。最大100万円までの建設改修費の補助が出るほか、税制の優遇、物件取得のための特別融資制度がある。国土交通省は、毎年300数十億円の予算をこれらの政策に充てており、これを2015年まで続ける。

入居率平均が8割。100%が2割以上も

 気になるのは入居率だ。
 財団法人高齢者住宅財団が、2013年3月に発表した「サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究(実態調査)」によれば、入居率は回答があった物件(N=1141)の平均で76.8%、入居開始から1年以上では86.9%と、かなりの入居率であることが分かった。
 入居率100%物件も全体の23.1%を占めており、100~80%が29.7%と、およそ半数以上が入居率8割を超えている。
 実態調査では、入居スピードもわかった。入居開始から1年未満だと入居スピードに差は現れなかったが、18㎡~25㎡未満の物件が最も入居率が高く、入居スピードも高い傾向が見られた。一方25㎡以上食事なしの物件は、1年以上経っても入居率は76.9%と他(18~25㎡未満87.7%、25㎡プラス食堂87.2%)に比べて低く、入居速度も遅い傾向がみられた。(図2)

高齢者住宅「サ高住」に注目

図2:サービス付き高齢者向け住宅 入居率
出典 財団法人高齢者住宅財団 サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究

 「サービス付き高齢者住宅情報提供システム(情報システム)」のデータによれば、入居者の支払い額の平均は、食費込みで13万1615円。うち家賃が6万4178円、食費が4万2882円となり、残りが共益費となる。介護サービスはこれら別途となっている。
 支払額別で最も多いのが12.5万円~15万円未満で全体の24.8%を占める。次に10万円~12.5万円未満が24.1%、15万円~17.5万円未満が13.8%(情報システム)とこの3つの金額帯で6割以上を占めている。
 あくまで平均を取ったものなので、東京では食費付きで20万円超が平均値だろう。現在単身高齢者の8割が年収200万円以下と言われている現状では、年金だけでは厳しい額とも言える。

 

大阪がダントツ。次いで北海道。

 ただ支払い額別での入居率の差はそれほどない。
 食費別の総額で5万円未満の入居率は89.9%だが、5万円以上7.5万円未満でも88.6%、7.5万円以上10万円未満が86.0%、10万円以上12.5万円未満が83.5%、12.5万円以上15万円未満が83.6%となり、15万円以上が88.0%となった(入居開始後1年以上)。支払い額が上がるほどやや入居率が下がる傾向があるが、15万円以上が88%と、再び上がることを顧慮すると額に関係なく、全体的に高い入居率であることが言える。
 ただ戸数には地域差がみられる。
 戸数が多いのは大阪、北海道、東京、埼玉、神奈川、福岡といった都市部だが、なかでも大阪は2013年5月末現在、1万950戸と、北海道の8260戸、東京の6233戸、埼玉の5555戸を引き離している〈情報システム〉。(図3)

高齢者住宅「サ高住」に注目

図3:サービス付き高齢者向け住宅の都道府県別登録状況(H25.5末時点)
出典 サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム

 大阪の登録戸数が多く、東京が意外と低い。一般財団法人サービス付き高齢者住宅協会(サ住協)の奥村孝行氏は、「詳しい理由は分からないが、東京や首都圏では土地が確保しにくいことがあるのではないか」と見る。
「また地域によっては、すでに特養や有料老人ホーム、公的施設などがあって充足率が高いため、入居率的に苦労してる物件もある」という。
 立地も大きい。「土地が余っているからと言って、周囲に何もないような場所にサ付住宅を建ても、人が入るとは限らない。サ付住宅だけでなく、今介護施設もどんどん都市のなかに入っている。社会参加する機会を奪うような住宅ではいけない」(奥村氏)

要介護度3以上も3割弱入居

 付帯施設については、通所介護が最も多く、46.5%、次いで訪問介護が39.1%、居宅介護支援が27.6%とこの3種類が二桁台。診療所併設は5.1%に留まった。
 一方参入事業者別をみると、介護系事業者が最も多く63.6%を占め、次いで医療系の16.1%、不動産業者が8.7%、建設業者が2.7%、ハウスメーカーが0.2%と続く。付帯施設の関係は事業者との相関がみてとれそうだ。
 要介護度の相関では思いの外、高い人も入居してることがわかった。完全に自立した入居者は12.8%ほどで、自立歩行などが難しい要介護3以上の入居者が28.3%あった。
 ただ奥村氏は「サ付住宅が自立向けで、特養や有料老人ホームなどへの中間施設とみるのは間違い」という。
「いずれ出るとなったら、そこへ入ろうとする人は少ない。それに介護が重くなったら自宅で生活するのは無理というのは、その地域では包括ケアができないと言ってることと同じ。また居住空間も必ずしも広いからいいというわけではない。狭くても居心地がいいほうを選ぶ人もいる」

 

20万戸突破は確実

 では今後の見通しはどうか。
 奥村氏は「何か問題がない限り(サ付住宅は)あと1年半で20万戸までは伸びると言われる。ただそこから先は競争が激しくなる」と読む。
 というのも20万戸という数字が、有料老人ホームなどの数と拮抗してくるからだ。選択肢が増える分、当然その中身の質が問われてくる。
「サ付住居は一時金がないので、居心地が悪かったり、サービスが悪かったら我慢せず出ることができる。そのメリットがある」
 ただ当面は「サ付住居は不動産事業としては魅力的だ」と話す。
 「国の優遇政策が厚いので、自己資金がゼロでも銀行融資を受けられたりする。ただし事業を進める上では実績のあるデベロッパーやハウスメーカーと組むべきだろう。介護保険を使うビジネスはスキルが要るので」とアドバイスする。

器の増加に人材が追いつくか

 一方、国に介護政策などを進言している、タムラプランニング&オペレーティングの社長、田村明孝氏は、別の視点から懸念を示す。その1つが国が進める「住所地特例」だ。
 住所地特例は、高齢者が別の自治体のサ付住宅を含む介護施設等に転居しても、元の自治体の介護保険が適用される制度だが、「たとえば自立の人がサ付住宅に入ってから要介護認定を受けた時には、住所地特例は使えなくなる。その場合どうなるのか」と心配する。
 また高齢化に伴って要介護度が上がったり、認知症などが出た場合、「介護サービスや訪問医療を提供できる人材が現状不足してるなかで、どこまで確保できるのか不安」ともいう。
 田村氏によれば、日本は北欧に比べて介護のマンパワー削減が遅れていると指摘する。「意外に思われるが介護ロボットの導入などは北欧のほうが進んでいる。国全体で介護者がそこに行かなくても日常生活がこなせるような『(福祉型の)スマートハウス化』を国策としてしっかり進めている」
 現状は住宅という場の確保が優先されるのは致し方ない。ただ伸び率を考慮すると人材育成なども含めたソフト政策の充実が急がれる。
 そもそもサ付住宅の制度自体、出来て1年半ほど。奥村氏は「まだ評価できる段階にない」としながら、「社会への浸透、理解は不十分と感じている」という。
 現在、国交省などが物件紹介サイトをつくり発信しているが、サービスの中身をきちんと理解し比較できるようなものにはなっていない。
「高齢者本人でなくとも、せめてケアマネージャーや行政の担当者など紹介する人の理解を浸透させたい。そういった人に施設の中身をどう発信するかが当面の課題」(奥村氏)という。
 市場の可能性があるだけに丁寧に対応していきたいものだ。

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