借り手市場でも譲れないこと「自分の得しか考えない」
当社の管理物件で、たまたま2階の部屋を3室ほぼ同時に募集することになった物件がある。広さは2DKで家賃は3室とも7万2000円。まあ、真ん中の部屋は7万でもいいのだが7万2000円でも安い。そこに、普段からお付き合いのある同業者から問い合わせが入った。「角部屋、7万になりませんかねえ」との交渉であった。そこで私はこう返答をした。「もしお客様に予算がないなら、202号室でどうでしょう。それなら7万でも大丈夫(家主さんは了解してくれる)と思いますよ」、と。すると担当者は、「角部屋ではダメですかねえ」と更に聞く。
【一方的な交渉】
私はそういう一方的な交渉事をしてくる客は嫌いである。予算が少ないのに自分は妥協せず、家主さんに値引きさせて良い部屋に住もうとする。これが、角部屋のみの募集ならそういう値引き交渉はアリ、である。私も何とも思わないし、家主さんに交渉もする。
もし客が「本来なら202号室にすれば良いようなものでしょうが、角部屋を見てしまうとやはり角部屋がいいですし、かといって予算も厳しいので、無理なお願いかもしれませんが、交渉してみて頂けないでしょうか?」と言ったなら、私は7万で受けたと思う。電話の感じでは、業者の担当者にそういう話をしてはいないように思えた。交渉してみて「安くなるなら検討するよ」という雰囲気だった。
【更に値下げ】
同じ客かどうかは不明だが、夕方、同じ担当者から「家賃7万2000円を、家賃6万9000円と共益費3000円にしてもらうことは可能か」と聞いてきた。礼金1敷金1の物件である。それで仲介料も安くなるから、客からすれば1万近い節約にはなるのだが……、断った。会社の住宅手当ての規約で家賃の上限が6万9000円というなら分かる。だがそうではなく、いかに初期費用を安く上げるかしか念頭にない、つまり自分のことしか考えていない客だから、である。そういう客を入居させたならいろいろ面倒なことも起きるに違いない。後で家主さんに報告したら笑って了解してくださった。いくら借り手市場といっても交渉事には相手への配慮が必要である。自分が得することしか考えないような客は願い下げである。
(坂口有吉不動産・社長)























