部屋探しの客から無理な注文「退去前の室内を見たい」
言うまでもなく、賃貸仲介の不動産会社にとって2月、3月は繁忙期である。部屋探しのお客さんも多くなるが、退去の連絡も結構入る。
当社の管理物件に入居していた兄弟が3月の下旬に退去することになった。早速広告を打つと早々に一般のお客様から問い合わせが入った。最初は「添付ファイルで間取り図を送っていただけますか」とのご希望で、次いで「アパートの写真はありますか?」とのこと。添付ファイルで送信すると、今度は「室内を見ることはできますか?」との問い合わせ。入居中の部屋は、たとえ「もう出る」にしても、「次のお客さんに中を見せてやってくれ」などと頼めるものではない。第一、中を見せたら決めてくれるとの保証はどこにもない。もし無理をお願いして一度見せてもらったら、二度目は頼めない。
【プライバシー】
昔は、間取り図と外観と周辺の環境だけで決めてくれたりしたものだが、最近のお客様は見ないと決められない人が多い。気持ちは分からないではない。そりゃあ誰だって、これから何年か住むことになる部屋の室内を見ないで決めるのには相当な決断力と勇気が要るものだろう。だが、だからと言って、人様のプライバシーを侵害していい理由にはならない。逆に、自分が管理会社に退去の連絡をして、不動産屋から「次のお客さんが中を見たがっているから見せてやってもらえないか」と頼まれたなら「ああ、私の時もそうでしたね、結構ですよ」とは言わないものだろう。と言うか、頼んだ人に限って、怒り出すかもしれない。
【不公平】
私が嫌なのは、そういう要求を受け入れたなら、部屋探しをしているお客様間で不公平が生じる、ということである。
つまり、無理を言った客は、まだ入居中にもかかわらず室内を見て判断することができたのに、社会常識が備わっていて遠慮している客は、中を見ずに判断させられることになる。それは著しく不合理だと思う。このご時勢だから4月に入っても部屋が残っている可能性もあって、早く決まって欲しくはあるが、「どうしても中を見てから決めたい」のなら、内見できる頃にはその部屋がなくなっているかもしれないリスクを負うべきである。
(坂口有吉不動産・社長)























