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プレミアム会員限定アルコール依存症になった入居者 「包丁男」が代替わり

賃貸・地域・鑑定

 多摩郊外の古いアパートでの話である。主人公は40代半ばの独身男性Tさん。今から20年ほど前、当社管理の2DKのアパートに入居した時には新婚だった。6年ほど平和に生活していたが、奥さんと別居した頃から酒に溺れるようになった。いわゆるアルコール依存症となる。

 仕事も辞め、家賃も滞りがちになる。当社で家賃管理をしていたので、仕方なく3カ月ほど家賃を立て替えていたが、やがて限界になり連帯保証人である実姉に連絡をした。そのお姉さん、私が20年前に賃貸仲介管理の仕事を始めてから出会った連帯保証人の中では最高の人柄であった。

■ 姉が肩代わり

 滞納分を速やかに支払ってくれただけでなく、今後弟に滞納させないために何をしたら良いか、一緒になって考えてくれた。ある意味、当たり前ではあるが、そんなことを考えてくれる連帯保証人などそうはいない。自分の息子が家賃を滞納して迷惑を掛けていても「知らねえよ、本人に言ってくれ」とマトモに取り合わない親は多い。いや、家賃を滞納しても平気で踏み倒していられるような子供の親は大半がそうなのだ。

 いろいろ相談した結果、今のアパートは分不相応ということで、家賃が半分になる隣町の1DKのアパートに移ってもらうことになった。本人は私とお姉さんと妹さんとでアルコール依存症の専門医がいるクリニックに連れて行き、カウンセリングを受けさせて快方に向かっていた。

■ 再び滞納も

 だが、そのアパートの先住者には奥さんと死別した60代半ばのアルコール依存症男性がいて、夜中に酔っ払って他の部屋のドアを叩いて包丁を振り回す事件を起こした。Tさんから夜中に電話を受けた私もアパートに駆け付けた。警察にも電話したが、「家から出ないように」でおしまいだった。

 それから数年後の夜中のこと、60代の包丁男は既に退去していたが、新しい入居者から「酔っ払って包丁を振り回している人がいる。早く来て」と電話が入った。駆けつけるとTさんであった。過去に自分も怖い思いをしていたのに、今は自分が包丁男になっている。家賃も再び滞りがちで、それはお姉さんが払ってくれるが、今後の対応をどうすべきか深刻に悩んでいる。(坂口有吉不動産・社長)

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