退居させたい家主の本音
■これではまるで騙し討ち
2年前から当社で管理させていただいている貸家がある。建物自体は築30年ほどで、広さは2K。新築当時から住んでいる入居者は昨今の不況で家賃が8カ月分も滞っていた。
5月末で更新を迎えるが、もちろんこのままでは更新はできない。最初は付けられていなかった連帯保証人を用意してもらう必要もあった。家主は更新契約を機に隣の貸家と同じ賃料の8万に値上げしたいと考えていたが、今まで一度も改修をしていないこともあり、私は段階を踏むよう提案し、7万を上限として2度の更新で段階的に調整することで納得してもらった。
で、今回が2度目の更新で、家主からは「滞納分を清算してもらうのと、今回から連帯保証人を立ててもらわなければ更新はできない」との条件が出された。もっともな話で、入居者に伝えると「何とかします」とのこと。
■見事な清算
契約が切れる直前にすべての滞納分の清算を済ませ、連帯保証人も立ててもらった。身寄りがなく、昔の勤め先の上司に頭を下げたとかで、公証人役場で公正証書も交わしたとのこと。その足で当社に立ち寄り、更新契約も済ませた。支払い額は66万7000円。過去にここまで見事に清算できた滞納者はいない。ここまで溜めると大抵は逃げるものだ。家主は喜ぶかと思いきや、今度はとんでもないことを言う。
■更新を白紙?
「庭にプレハブの物置が置いてあるけど、あれを処分してくれないと判は押せない」と言うのだ。更新契約を結ぶための条件は、清算と新規連帯保証人を立てることの2点だったハズである。しかも「もう建て替えたいから、半年以内に出て行ってもらってくれ」と言うのだ。それではまるで後出しジャンケン、いや騙し討ちである。滞納家賃を回収したかっただけ、と思われても仕方ない。確かに、滞納したのは入居者の落ち度だし支払うのは当然だが、それだと私が入居者にウソをついてカネだけを払わせたことになる。
納得がいかないので、入居者に事情を説明して詫び、「更新を白紙に戻して、一旦、全額お返しします」と言うと、快く「元々私がいけないので、2年の猶予をいただければ退去します」と。それで家主を説得して更新を済ませたが、すこぶる後味が悪い契約になった。(坂口有吉不動産・社長)























