サンケイビル 木質化で環境に配慮 秋葉原にオフィスビル
住宅新報 2026年7月28日 号 5面

木材を構造材として活用するだけでなく、耐震性や耐火性を確保する技術、資源循環に配慮した仕組みなどを取り入れた。木質空間ならではの温かみを生かしつつ、都市型オフィスに求められる性能との両立を図った。各階の賃貸面積は約100m2で、セットアップオフィスも用意した(写真)。賃料はセットアップオフィスが坪当たり3万5000~4万円、そのほかは3万円台前半に設定。周辺相場は2万5000円程度だが、木質オフィスが評価され、入居に向けた調整が進むフロアや内見を希望する企業が増えている。1階は9月末にカフェを開設し、2階には共用ラウンジを設けた。
同日に現地で開いた記者会見・内覧会で、同社技術本部建築技術部マネジャーの稲岡理絵氏は、「既存杭を残しつつ、新たな杭も打設した。南面には建材一体型の太陽光発電ガラスを採用し、西面では軽量・薄型の次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の実証実験を行う。建物中央のコア部分を鉄骨造とした。外周部は熊谷組と住友林業の木造技術を活用して木造フレームとした。2階ラウンジでは環境センサーなどを用いて自然環境を再現する。都市型オフィスでの〝サステナビリティー発信拠点〟としたい」と技術面を説明した。
建物規模は9階建て延べ約1072m2。木造と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造を採用している。同規模の鉄骨造と比べて約59トン、約19%の鉄骨を木材に置き換えており、建設時のCO2排出量を約112トン削減した。こうした先導性が評価され、国土交通省の『優良木造建築物等整備推進事業』の先導枠にも採択されている。
建設地は東京都千代田区東神田2の8の16の敷地約169m2。東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅や都営新宿線「岩本町」駅徒歩6分に立地する。
同物件は、木材の構造利用に加えて、オフィス空間での利用者の〝体験〟にも取り組みを広げる。ワークショップなどを通じ、入居企業や地域住民との交流を促す。体験プログラムで連携するASIBA(東京都江東区)共同代表の森原正希氏は、「遊び心のある形で、都市と森がつながるきっかけとなる新しい取り組みを始める」と説明した。ソマノベース(和歌山県田辺市)CFO兼プランナーの浅利知波瑠氏は、「都市でも森を身近に感じてもらうため、入居者に『戻り苗』を配布し、育てた苗木を2年後に和歌山の山へ植林する」と話した。
今後は、林業の過程で生じる枝葉や木の精油を活用した香り付きの『森ごとクレヨン』を制作する親子向けのワークショップを開催する。専門家による情報提供や参加者同士の対話、体験などを組み合わせたサステナビリティープログラムも定期的に展開する。
サンケイビル常務取締役の朝日昭博氏は、「木質化によって環境に配慮しつつ、事業性も両立している。これからの都市開発の新しい姿になると期待している。働く人の心地良さを大切にし、建物の完成をゴールとは考えていない。物件特性を生かし、どのような価値を創出できるのかを追求していく」と展望した。





















