共同企画 住宅新報×不動産経済研究所 住宅産業のリーダーに聞く 全住協の課題と指針(13) 省エネ・DX委員会委員長 山田照氏 難しい制度を分かりやすく伝える 省エネ・DXで会員企業の橋渡し役に
住宅新報 2026年7月7日 号 5面

――省エネ・DX委員会の役割は。
「大きくは省エネ化、DX化、不動産IDの対応が柱になる。住宅・不動産業界を取り巻く制度や技術は、年々変化している。会員企業がそれらを理解し、実務に生かせるよう、情報提供していくことが委員会の重要な役割と認識している」
「特に省エネの分野では、25年の省エネ基準適合義務化や30年に向けたZEH水準への対応など、住宅供給の前提が大きく変わっている。制度の趣旨は理解できても、現場では内容が複雑で分かりにくいとの声が少なくない。難しい制度をできるだけ分かりやすく伝え、会員各社が考える機会をつくることが委員会の役割にある」
――省エネ対応における課題は。
「省エネ性能の向上は、快適で健康に暮らせる住まいづくりにつながる重要な取り組みとなる。一方、新たな制度への対応では、設計や評価に求められる内容が高度化している。特に中小事業者にとっては負担感も大きい。制度を普及させるためには、現場が理解しやすく、取り組みやすい環境づくりも必要になる」
「私自身、会員企業の各社と接する中で、制度の内容までは十分に理解できていないという声を聞くことがある。だからこそ、委員会として情報共有を進め、会員企業の理解を深めていきたい」
――DXについては。
「DXは単なる電子化ではない。業務やビジネスモデルを変革し、生産性を高める取り組みだと思う。ただ実際に業界全体で見ると、まだ業務のデジタル化の段階にとどまっているケースが少なくない」
「住宅・不動産業界では、人手不足が深刻化している。DXやAIの活用は、その解決策の一つになり得るが、一方で不動産取引は、人と人との信頼関係の上に成り立つ仕事でもある。売買の現場では、顧客の表情を見ながら説明し、不安や疑問を解消することが重要。効率化と、人の価値の両立が求められている」
――委員会としての具体的な活動は。
「DXやAIの活用事例の情報収集や紹介を行っている。今後は、生成AIに関するセミナーも開催する予定である。技術の進歩は非常に速く、文章作成だけでなく、画像の生成も実用段階に入った。住宅・不動産業界でも活用できる場面は多い。まずは、会員企業に触れてもらい、利便性を実感してもらうことが重要だと考えている」
「省エネやDXは、単独のテーマではない。中高層委員会など、他の委員会とも関わりが深く、共同で研修会を開催することもある。税制や金融、流通などの幅広い分野と結び付いているため、各委員会の横断的な情報共有を進めていきたい」
――委員長として意識していることは。
「法制度や技術は年々複雑になっている。委員長として、まずは自分自身がしっかり理解する。その内容を咀嚼(そしゃく)して会員企業の各社に伝えることが大切だと思っている。難しく重要な問題を、できるだけ分かりやすく説明する。そのための自分自身の勉強も必要になる」
「更に、委員会は、一方的な情報提供の場ではない。会員同士が課題や工夫を共有し、学び合う場であってほしい。行政の動向や制度改正、技術革新などを会員企業の各社に伝える橋渡し役としての役割を果たしていきたい」
――今後の展望は。
「建築費の高騰、人手不足、技術承継など、住宅・不動産業界には多くの課題がある。省エネ対応やDXの推進も含め、会員企業の各社が適切に対応できるよう、支援していくことが委員会の使命にある」
「環境変化のスピードは速い。ただ、会員企業同士が知恵を出し合えば必ず対応策は見えてくる。委員会に『参加して良かった』『自社でも取り組んでみよう』と思ってもらえる場にしながら、良質な住宅供給と業界の発展に貢献していきたい」





















