不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第104回 技術革新が可能にする未利用空間の土地活用 メタボリズム構造実現で課題解決の可能性
住宅新報 2026年6月16日 号 7面
私は、勤めている鉄道会社の学び直し休職を利用して本学大学院に在籍中である。昨年度に都市計画を学ぶ講義にて〝メタボリズム〟を考察した。メタボリズムは1960年代に日本で起こった建築運動で、都市や建築は生物のように新陳代謝すべきという思想を基にする。そこで、大高正人、槇文彦により構想された、新宿駅を東西に跨る人工土地を建設して、その上に都市を建設する新宿副都心計画に着目した。
現在、東京圏の不動産課題として住宅価格高騰が挙げられる。そこで、未利用空間の土地利用を解決策の一つと考え、鉄道の線路上空に人工土地を造成して居住用の土地開発を行う発想を新宿副都心計画から得た。新宿駅を跨ぐバスタ新宿などの実例から、線路上の開発は技術的に可能である。
人工土地は日本で唯一、香川県坂出市で実現した。坂出市人工土地は、老朽化した密集市街地に人工土地を建設して住宅を整備する事業であり、約20年を費やし1986年に竣工した。昨年、現地を訪れる機会があり観察したところ、人工土地上の団地は老朽化が進んでおり空室が目立つ。建築物の新陳代謝ができておらず、メタボリズムの思想実現の難しさを感じた。原因は人工土地上のRC造建築の建て替えの困難さと推察し、建築物の新陳代謝に必要な要素は木造建築ではないかと考察した。近年では技術革新により木造建築の高層化が可能である。また、地球温暖化対策や国産木材活用といった点でも木造建築が注目されている。木造はRC造と比較して軽量なので人工土地の耐力の点で利がある。加えて、木造は建て替えが容易であることから人工土地上の建築には木造が適する。
























