不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第103回 白川郷の「レスポンシブルツーリズム」 住民と観光客が築く持続可能な未来
住宅新報 2026年6月9日 号 7面
世界文化遺産に登録されている岐阜県・白川郷。合掌造り集落の景観を求め、年間を通じて多くの観光客が訪れる。その観光のあり方が「レスポンシブルツーリズム」という視点から注目されている。レスポンシブルツーリズムとは、観光客と地域住民が互いに影響し合い、観光が単なる消費に留まらず、地域の保存や発展につながる観光の形を指す。
白川郷では、観光客の「美しい」「残したい」といった声が、住民の保存活動への誇りや意欲を高めてきた。合掌造りの維持は労力がかかるが、来訪者の反応が地域の原動力となっている。また、農作業や民宿での宿泊体験など、住民と観光客が交流する取り組みも広がる。訪問者は単なる見物客ではなく、文化を「支える参加者」として地域に関わることができる。住民にとっても収入源の拡大だけでなく、伝統や暮らしを伝える場として意義を持つ。
一方で、課題も浮かび上がる。観光客の急増による交通渋滞や生活環境への影響、自然環境の負荷などは深刻だ。住民の暮らしの静けさを守りつつ観光を継続するには、来訪者の節度ある行動と、持続可能性を意識した仕組みづくりが不可欠となる。
























