第59回 住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 グラングリーン大阪〝募集対象外40億円〟
住宅新報 2026年6月9日 号 4面
「グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE」のエントリーが始まった(販売開始は10月下旬予定)。最高額が40億円に達することで、多くのニュースで取り上げられている。
とはいえ、「そんなマンション、誰が買うんだ」という声は出ていない。40億円住戸はすでに成約済みと明かされているからだ。10月から販売開始予定で、最高額住戸はすでに成約済み……なんで?という疑問は出てこない。都心部の超高額マンションは、アンダーで販売されることが「既成の事実」もしくは「暗黙の了解」になってきたからだろう。
物件概要をみると、「総戸数538戸」の後ろに(募集対象外住戸321戸を含む)と書いてある。大半は非公開で販売されることも大手を振って表記されている。以前は「事業協力者住戸」とされることが多かったのだが、「募集対象外」のほうがすっきりする。
そもそも、このマンションが一般向けに広く販売されるほうがおかしい。
立地は大阪駅の北側。かつての操車場跡地で、北ヤードと呼ばれていた。その再開発で第一工区が「グランフロント大阪」、第2工区が「グラングリーン大阪」である。
遅れて開発された「グラングリーン大阪」は、大阪駅の目の前に広大な公園をつくり、背後にオフィス棟やホテル、住宅棟を配置。「巨大ターミナル駅の前に公園をつくる」という世界でも珍しい開発を実行した。
この住宅棟としてつくられる2本目の超高層タワーマンションが「グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE」となる。公園の背後だが、実質的に大阪駅の駅前マンションとなる。
東京でいえば、東京駅の丸の内側で駅前広場の先にマンションが建つようなものである。
だから、開発者は最初からレジデンスをつくる気はなかった。10年以上前につくられた「グランフロント大阪」のマンションは、「全戸ゲストハウス」のコンセプトで設計された。すなわち、玄関を入るとすぐにLDKがあり、寝室は奥に配置。ホームパーティーを開きやすいようにつくられた。
これにより、法人購入もしくはオーナー社長の購入を促した。「グラングリーン大阪」では、車ごとエレベーターで上がり、リビングから車が見える住戸もあるのだが、これは高級車のディーラーにぴったりだろう。有力な顧客を呼び、新車発表会を開くのにちょうどよいからだ。
最新の都心高額分譲マンションには、そういう需要がある。そして、郊外でも地場の企業が多い場所では、同様の需要が見込める。そういう時代ということである。























