第58回 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄 慧眼を開く「バウス西船橋」外観デザインが秀逸
住宅新報 2026年6月2日 号 4面
中央日本土地建物の「バウス西船橋」は、建物デザインのよさで注目されるマンションである。建設地は千葉県船橋市本郷町となり、JR中央・総武線の西船橋駅から徒歩11分ほか。駅からの道はフラットだ。が、徒歩11分なので、人によっては遠いと感じる距離となる。
地上6階建てで、総戸数57戸。ここまでの概要で、購入検討者に刺さる要素は少ない。価格は、この記事を書いている時点で物件ホームページに出ている予告概要で、約59m2~67m2の3LDKが6500万円台から7900万円台……少々高めに感じる設定である。
ネットではどのように評価されているのか、調べてみたら、駅徒歩11分の便利さや都心へのアクセスのよさがクローズアップされていた。つまり、ホームページの概要をみた感想である。
しかし、実際に建設地を訪れれば、このマンションの評価が一瞬にして変わるはずだ。
外観デザインが秀逸なのである。
白っぽいマンションが多いなか、黒を主体にした引き締まった色合いで、バルコニーの軒裏は木調に仕上げている。エントランスには御影石を張った柱の存在感が大きく、建物前の石積みは「小端積み」というのだろうか、薄い石板を重ねた風情あるものとなる。
外観に力を入れたマンションであるため、その特徴を理解してもらうために、完成売りとしている。
実際、見学者は実際の建物が見えた時点で声を上げる。写真や完成予想図で見るより、ずっとよい、と感激するわけだ。
もっとも、マンションは完成したときのほうが予想図や模型よりも見栄えがよくなるもの。建物が巨大であるため、小さな模型や画面に写し出された画像より迫力が増すからだろう。
だから、40年以上の取材活動を通し、建物ができあがってから「想像と違う」という不満が出た……なんて話を聞いたことがない。外観デザインに力を入れたマンションであれば、なおさら建物の迫力は力を持つ。
車やマンションといった高額商品は、純粋な冷やかし客が少ない。「買う気はなかったんだけど、見に行ったら、買ってしまった」などという人も、内心、買う気はあった。だから、来場さえしてもらえれば、よい。車やマンションの売り手はそう考えるものだ。
つまり、外観に力を入れたマンションの場合、駅距離や価格、広さだけで物件を評価されるのは困る。概要だけの物件評価など、よけいなことしないでいただきたい、だろう。
完成販売の場合は、建物ができあがるまでホームページも公開しない。なんらかの方法で期待は高めるが、情報は制限する。建物に自信がある物件であれば、そのような手法が効果的と言えそうだ。























