ニュースが分かる! Q&A 実用化迫る「ペロブスカイト太陽電池」 今後のゲームチェンジャーに
住宅新報 2026年4月28日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

不動産仲介会社A 環境意識の高まりから、太陽光発電などの再生可能エネルギーが普及している。
不動産開発会社B 最近では、『ペロブスカイト太陽電池』(以下・PSC、Perovskite Solar Cell)に注目が集まる。
A 聞きなれない名前だ。
B ロシアで発見された鉱物で、それを材料に太陽電池として応用する技術は、09年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授の研究グループが世界で初めて発明したといわれる。
A 日本の成長鈍化が危惧されているが、まだまだ技術開発の力はあるな。
B 実用化の初期、または過渡期の〝量産化の前夜〟の段階にある。27年前後の実用化を目標とする動きが多い。
A だが実用化は目前だ。
B 従来の結晶シリコン系太陽電池と異なり、最大の強みは、フィルム状で軽量かつ柔軟性があり、設置場所の制約を受けない。屋根や壁に加え、曲面やガラスにも設置できる。印刷や塗布で製造可能なため、低コストで工程が少なくて済む。
A いいこと尽くしだ。
B 室内光や曇天の低照度でも発電する。IoTや屋内電源に適するが、湿気や熱、紫外線などで劣化しやすい。耐久性や寿命に課題が残る。膜形成の均一性も製造技術上の課題。長期的なデータが不足し、銀行融資や投資判断に踏み込めない状況もある。
A まさしく過渡期か。
B 不動産・建設分野では実証が既にスタートした。建物一体型(BIPV)で外壁やガラス、屋根を一体利用して〝発電する建物〟を目指している。特に屋根面積が不足する高層ビルや都市再開発での活用が期待されている。軽量で既存の物件にも後付けでき、特別な耐震補強を要せずに設置できる強みがある。
A 建物自体が発電する。
B 工事現場や災害時の仮設住宅にも設置可能で、一時的利用も想定される。ESGの観点でZEBやZEHとの親和性が高く、高付加価値住宅として訴求力が向上する。
A 〝売れる建物〟に。
B 宮坂教授が設立したペクセル・テクノロジーズ(川崎市麻生区)とアキレス(東京都新宿区)などは、神奈川県立防災センターに設営したテントにPSCを張り、実証実験を実施した。阪急阪神不動産は、『東阪急ビル建替計画』に『ガラス型』を設置し、新築オフィスビルの外装への実装は国内で初といい、27年12月に竣工する。
A 不動産会社も動き始めているな。ほかにも先行して取り組む企業がありそうだ。
B JR九州や日揮などが連携し、博多駅ホームの屋根上に『シート型』を設置して25年10月に実証実験を開始した。実用化・事業化に近づく実装検証でYKK APは、大阪市内でパナソニックHDが開発中の内窓と太陽電池を一体化させた『ガラス型』の建材一体型太陽光発電を設置し、検証を続けている。これは〝窓で断熱(省エネ)〟から〝窓で発電(創エネ)〟の機能を備える狙いがある。更に、YKK APは中国電力グループと協働し、広島市南区の広場に実証モデルハウスを建設し、27年3月まで検証を重ねている。マクニカ(横浜市港北区)は、神奈川県の事業で箱根湯本駅などに設置した。東京都はPSCに『Airソーラー』と名付け、補助制度で社会実装に向けて支援を始めた。同事業では、東京ガスと飯田グループホールディングスが施工性や発電性能の実証を進めている。奥村組技術研究所は、PSCを貼り付けた遮水シートを盛土斜面に設置し、発電性能と斜面防災効果の実証試験を25年12月に開始した。土木分野にも広がる。
A 行政機関の関心も高っている。
B NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、PSCを含めた『フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン』を3月18日に公開している。
A いよいよ実用化だ。
B PSCの主原料はヨウ素で国内生産が可能なため、低資源国・日本でも対応ができる。新技術の普及により、今後のエネルギー源の〝ゲームチェンジャー〟の有力な候補となる。不動産・建設に親和性が高く、市場を拡大していく役割が期待される。リスクも勘案し、今後の事業戦略で注目したい分野となる。





















