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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 420 耐震等級1.2・3の本当の意味 〝無被害〟ではない点に注意

住宅新報 2026年4月28日 号 9面

連載: 知って得する建物の豆知識

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  • 知って得する建物の豆知識 420 耐震等級1.2・3の本当の意味 〝無被害〟ではない点に注意

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  • 軸組木造では筋交いが耐力アップの決め手に

    2 / 2軸組木造では筋交いが耐力アップの決め手に

 住宅物件の説明時に「この建物は耐震等級3です」と伝えると、多くのお客様は「それなら地震でも安心ですね」と受け止めます。耐震等級は住宅の耐震性能を示す代表的な指標であり、不動産業者としても説明する機会が増えています。しかし、この等級の意味を正しく理解していないと、過度な安心感を与えてしまう恐れがあります。

 耐震等級は住宅性能表示制度に基づき定められた指標です。基準となるのが耐震等級1で、これは建築基準法が定める最低限の耐震性能を満たしている状態を指します。数百年に一度程度発生するとされる大地震で「倒壊・崩壊しない」すなわち脱出できることが目標であり「無被害」を意味するものではありません。

 耐震等級2は、その等級1の1.25倍の地震力に耐えられる設計とされ、学校や病院など避難所として使われる建物に求められる水準です。耐震等級3は、更に上の1.5倍で、現行制度では木造住宅で取得できる最高等級となります。

 ここで注意したいのが「耐震等級3=地震でも無傷」という誤解です。耐震等級は、あくまで倒壊を防ぐための構造安全性の指標であり、内装や設備、外壁のひび割れなどの被害まで保証するものではありません。

 実際、大地震では耐震等級3の住宅でもクロスの亀裂や建具の歪み、外装材の損傷が発生することがあります。つまり、等級が高いほど「壊れにくい」傾向はありますが「被害が出ない」こととは別問題なのです。この点を理解せずに「絶対安心です」と説明すると、地震後のクレームにつながりかねません。無被害を目指すなら免震構造や制振構造を採用する必要があります。

 もう一つ重要なのが、同じ耐震等級でも中身は一様ではないという点です。耐震等級は構造計算に基づいて評価されますが、その計算方法や設計思想、施工精度によって実際の耐震性能には差が生じます。例えば、耐力壁の配置バランスが悪い建物や、施工精度が低い建物では、数値上は等級3でも、地震時の挙動が理想通りにならない可能性があります。等級はあくまで「設計時点での性能評価」であり、現場の施工品質まで自動的に保証するものではありません。

 耐震等級を説明する際は「数字の大小」だけでなく「何を意味し、何を保証しないのか」をセットで伝えることが重要です。例えば「耐震等級3は、倒壊しにくい設計ですが、地震後に補修が不要という意味ではありません」と補足するだけでも、説明の信頼性は大きく高まります。また、中古住宅の場合は、取得当時の基準での等級かどうか、性能表示制度を利用しているかどうかも確認が必要です。等級の有無だけでなく、築年数やメンテナンス状況と合わせて説明することが求められます。

 また、耐震等級3の確保に加え、長期優良住宅の認定や一定の省エネ性能(ZEH水準等)への適合を図ることで、購入者に対して税制・保険面でのメリットを明確に提示できます。住宅ローン控除では認定住宅を中心に借り入れ限度額の上乗せ措置が講じられており、資金計画上の優位性が生まれます。質問の多い地震保険については耐震等級3で保険料が50%割引となるため、ランニングコスト低減の訴求にも有効です。更に、認定長期優良住宅では登録免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減措置が適用され、住宅取得等資金の贈与においても一定の省エネ基準を満たす住宅は非課税枠の拡大対象となります。これらの制度は年度ごとに要件や水準が見直されるため、最新の適用条件を確認した上で、性能と経済性をセットで説明することが成約率向上に直結します。(建築家・中村義平二)

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