エンジョイワークス福田社長に聞く 関わりしろが人を動かす 場づくり起点で広げる不動産の役割
住宅新報 2026年4月21日 号 6面

福田社長の原点は、不動産ではない。「地域の人とまちづくりをしたい」。その思いから07年に起業し、関係人口をどう広げていくかを軸に事業を組み立ててきた。不動産やファンドはあくまで手段にすぎない。人を巻き込み、場を育てる。そのために必要な機能を後から積み上げてきた結果が、現在の事業群だ。
同社の歩みは、人を巻き込む段階から始まり、建築、場の運営、共感投資ファンド、人材育成へと広がってきた。足元では空き家活用のDXも進め事業の再現性を高めようとしている。
「最初から従来の不動産業と違うアプローチを取ろうと考えていた」。そう語る福田社長だが、外側からの視点だけでは成立しないことも学んだ。地場の宅建業者との連携を通じ、取引の成立や仲介の役割を理解し、自らもその機能を取り込んできた。
余白が人を呼ぶ
それでも軸は変わらない。目指しているのは「まちづくりや住まいづくりのジブンゴト化」だ。象徴的なのが、横須賀市で進める月見台住宅プロジェクトである。空き家となり、〝天空の廃墟〟とも言われた平屋団地を再生し、「自分の居場所」として関わる人を増やす。入居者だけでなく、地域住民も含めた関係性の再編を試みている。
特徴は、手を加えすぎないこと。DIY可能な空間や共用部、マルシェといった仕掛けを通じ、関わり方を一つに固定しない設計だ。「関わりたいという思いがあっても、その濃さにはグラデーションがある」。福田社長はそう語る。全ての人に強い当事者意識を求めるのではなく、関与の度合いを許容する。その余白こそが人を呼び込み、関係を持続させる力になる。
社会と経済の両立
この関与の思想は、ファイナンスの設計にも表れている。開発初期のリスクは企業や金融機関が担い、事業が軌道に乗る段階で地域の人が小口で投資する。いわゆる「共感投資」の仕組みだ。地域住民が少額から参加することで、事業の進展と共に関係性も深まる設計となっている。
大きな資金を一部の主体だけで抱え込むのではなく、段階に応じて関与の主体を広げていく。ここでも「関わり方」を設計している。一方で、複数エリアで伴走型のプロジェクトを展開するには限界もある。だからこそ、地元の不動産会社や自治体、大学など、地域に根ざすプレーヤーとの連携が不可欠になる。
「社会性と経済性を両立させることが重要だ」。福田社長はそう強調する。地域にインパクトを与えるだけでなく、事業として持続させる。そのためにはDXなどを活用し、効率性も高めていく必要がある。人を巻き込み、関わり方を設計する。その積み重ねが地域に新たな循環を生み出す。不動産は単に「つくる」ものではなく、人が関わる余地を残す装置へと役割を変えつつある。その設計力が、不動産の価値を左右する局面に入っている。























