第53回 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄 慧眼を開く 全戸民泊対応「ブランシエラ札幌すすきの」
住宅新報 2026年4月21日 号 4面
札幌市内で「ブランシエラ札幌すすきの」の販売が始まった。長谷工不動産と大和ハウス工業が事業主となる地上14階建て、全91戸の新築分譲マンションだ。
超高層ではなく、大規模でもないマンションだが、これまでにない特徴がある。それは、全住戸民泊対応となっていること。ここでいう「民泊」は、民泊新法によって生まれ、民泊として営業して良い日数を「年180日まで」と制限されるものを指す。
今、民泊で話題なのは民泊特区に所在して1年中フル稼働し、周囲に迷惑を及ぼしがちなものだが、それとは大きく異なる民泊だ。
あくまでも、1年の半分以上は所有者がセカンドハウス等として利用し、年180日だけ民泊として人に貸すことができる形態である。
この「180日民泊」は、札幌市内や沖縄県内に多くつくられている。セカンドハウスを求める人が多い場所で、「民泊として利益を得ることもできる」点をアピールポイントにして販売できるからだ。
その住戸は、一部を民泊可として、残りは実需向きに販売されるのが、これまでの方式だった。たとえば、半分は民泊可で半分は実需向き……その場合、上層階住戸は民泊可として、実需向き住戸は下層階に配置するようなことが行われた。上層階の民泊可住戸は価格設定を上げ、実需層向き住戸は価格を下げる。それにより、どの住戸もまんべんなく売れるようにしたわけだ。
しかし、販売を行うと、民泊可の住戸だけが好調に売れた。特に札幌市内では民泊可の住戸ばかりが売れて、実需向き住戸が苦戦するという状況になりがちだった。実需向きといっても賃貸に出すことも可能なので、正確に言えば「実需・投資向き」なのだが、売れ行きは渋めに推移。民泊可住戸の人気が圧倒的に高かった。
なので、札幌市内で新規発売される民泊対応マンションは、民泊可住戸の比率をどんどん増やしてきた。そして、この3月から販売開始した「ブランシエラ札幌すすきの」では、ついに「全戸民泊可」となった。
更に、民泊可であるが、1LDKとかワンルームを設けず、全て2LDKと3LDKの構成とした。建設地は札幌の繁華街である「すすきの」エリア。すすきので大きめのファミリータイプをそろえたため、上層階住戸の販売価格は1億円を超えた。
それでも販売は好調に進んでいる。1億円を超える住戸にも申し込みが入り、総じて3LDKの人気が高いという。
この「1億円超えの3LDK」が人気になっている点も、民泊マンションの常識を覆すものだろう。
なぜ、3LDKの民泊マンションが売れるのか。それは、「180日民泊」の性格を考えれば、ファミリー向けプランのほうがなにかと好都合であるから。コンパクトな間取りより、3LDKのほうが民泊として好まれる理由については、次号に。























