第52回 住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 山手線の駅徒歩圏に価値見いだす
住宅新報 2026年4月14日 号 4面
野村不動産の「TOMORE(トモア)田端」の2回目。前回、この賃貸マンションは、全160戸と規模が大きく、住戸は約13m2から約15m2で家賃は月額9万円から13万5000円の設定であること、そして、コリビングとコワーキングスペース、シェアランドリーの広さを合算すると、300m2ほどの面積となる。全160戸で割ると、1戸あたり2m2程度となるため、13~15m2の居室割り当てが実質15~17m2となることを解説した。
15~17m2であっても、ワンルームとしては広いとはいえない。居室内での満足度は下がるだろう。それよりは、13~15m2で90m2超のコワーキングスペースと約120m2のコリビングを設けたほうが見栄えが上がる。問題は、160戸の住人に対して十分な広さかどうか、だ。
当然ながら、160人が一度に押し寄せたら、あふれてしまう。コリビングにはシンクと2口コンロをセットにしたものが7つ配置されている。つまり、1度に調理ができるのは7人までだ。仲良くなった住人が2人で1セットを利用しても、1度に調理ができるのは14人……160人が全て調理をするために10回転以上必要となってしまう。
とても足りないと思いがちだが、ここに都心シェア型賃貸の特徴が加わる。すなわち、都心で就業する独身は、同じ時間帯に帰宅しないのである。
バラバラと帰宅し、コワーキングスペースで仕事を続ける人もいる。そのため、コリビングもコワーキングスペースも24時間利用可とされていて、深夜の2時、3時まで居る人が生じる。
帰宅途中で弁当やパンを買ってくる人もいるだろうし、外食の人も少なからずいることを考えれば、コリビングとコワーキングスペースはそんなに広くしなくてよい、ということになる。
「みんなで一緒に食事しましょう」となりがちな従来型シェアハウスとは根本的に異なるスタイルになるわけだ。そんな温もりよりも、山手線の駅徒歩圏に住まいを確保できることに価値を見いだす人にふさわしい賃貸となる。
深夜までコワーキングスペースに居る人同士で仲良くなれば、それはうれしい成果となるだろう。
「TOMORE」の利用者は約7割が上場企業の社員で、8割が女性という。属性は高く、入居者からは「家賃を下げないでほしい」との要望も出ているという。質の高い入居者と知り合いになれることも「TOMORE」の魅力と考えられているからだ。シェア型賃貸は、新しいジャンルとして伸びて行きそうだ。























