ウィルに聞く 管理職のつくり方(下) ――若手に任せて育てる 成長を引き出す現場
住宅新報 2026年4月7日 号 6面
有田さんは2015年に新卒でウィルへ入社した。当初は不動産業界に強い関心があったわけではない。「広告の取り組みなどに興味があり、成長できる環境だと思った」と振り返る。当時は「3年ほど働いて別のキャリアもあるかもしれない」と考えていたという。
転機は営業として結果が出ず、悩んでいた頃だった。周囲や会社の環境のせいにしていた時、田中社長(当時は部長)から「いつまで周りのせいにしているんだ。自分で責任を持って一人前になれ」と言われ、はっとした。主体的に動くことを意識するようになり、次第に結果も出始めた。「環境のせいにするのではなく、自分で環境をつくる側になりたい」と思えるようになり、それがトップ営業へ進む転機となった。
その後、管理職に就いたが、最初は戸惑いも大きかったという有田さん。「上司のようになろうとして正論ばかり言っていた。きっと一緒に働いていてつまらなかったと思う」と苦笑する。先輩に相談しながら試行錯誤を重ね、次第に自分なりのスタイルを見つけていった。
やりがいの仕掛け人
象徴的なのが、入社2年目の若手社員を一人で高額な不動産売却案件に送り出した経験だ。営業の現場は部下が成長する機会だと考え、事前準備を共に進めた上で任せた。後日、その顧客から呼ばれ「なぜ彼を一人で来させたのか」と問われた。意図を説明すると「分かった。私も応援する。しっかりフォローしてあげて」と理解を得て取引が成立したという。その社員の表情が変わり、後にトップ営業へと成長した。
「売り上げをつくる責任はあるが、営業の現場は部下の成長の場」。有田さんはそう考え、できるだけ自ら前面に立たず、若手に任せるようにしている。
自分が「面白がる」
同社では男女で役割に違いはないとされ、有田さん自身も「女性だから特別扱いされたことはない」と話す。重要なのは、挑戦したいと思える環境だという。「任されている、期待されていると感じられることが大きい」。
視点が変わる中で、仕事のやりがいも変わった。「部下が成長する姿を見るのが一番うれしい。今はこの役割が自分に合っていると感じる」と笑う。「若い社員が仕事を面白いと思えるような環境をつくりたい」。その積み重ねが、次の挑戦を生んでいく。
責任ある仕事を任されるほど裁量は広がり、働き方の選択肢も増える――有田さんはそう実感する。結婚や出産などライフステージの変化に不安を感じる若手も少なくないが、早い段階で仕事の面白さや役割のやりがいを実感できる環境があれば、キャリアの見方は変わるかもしれない。
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人材育成をどう進めるかは、不動産業界にとっても共通の課題だ。若手に挑戦の機会を与え、成長を支える環境をどうつくるか。その問いは、多くの企業に共通して突きつけられている。(佐々木淳)

























