山下PMC 健康増進を付加価値に 全国に広がる住宅認証制度
住宅新報 2026年4月7日 号 5面
山下PMCは、建設・不動産領域のプロジェクトマネジメントやコンストラクションマネジメントを主力とする。発注者でも施工会社でもない客観的立場で同制度を運用する。常務執行役員グローバル事業本部本部長の合内祥之氏は「健康は誰もが意識する重要な要素。不動産領域で、海外の同様な認証制度では、時間やコスト、手間の面で取得のハードルが高い。特に中小事業者には取り組みにくい。一方、当社の制度は、評価項目を厳正に保ちつつ分かりやすく、比較的に低コストで認証を得られる」と説明する。
医師や建築家などの有識者で構成する委員会が策定した評価項目を〝ものさし〟として客観的なエビデンスに基づき、その住まいが健康にどのように寄与するのかを可視化する。例えば開放感ある階段は上り下りが楽しい。日常的な運動習慣を促し、身体機能が向上する。居住者の健康意識を高め、自発的で健康的に行動が変容される。評価は、7つの領域(「感覚」「運動」「認知」「生体恒常性・代謝」「活力」「心の健康」「衛生」)の30項目で、心身への寄与度をレーダーチャートで示す。
型式認定ではなく、物件ごとに3段階(プラチナ・ゴールド・シルバー)で認証する点も特徴。認証ロゴをマイソク(不動産広告)に掲載することで、販売面での差別化にもつながる。認定第1号は、相鉄不動産の分譲マンション『グレーシア湘南平塚海岸』(神奈川県平塚市)でプラチナ、第2号『グレーシア横浜十日市場』も同グレードで認定した。また、主な事例として、25年6月にはコスモスイニシアのアクティブシニア向けの分譲マンション『イニシアグラン札幌イースト』(札幌市中央区)を高齢者向け住宅として初のプラチナで認定した。同年7月には、西部ガスライフサポートの介護付有料老人ホーム『アンペレーナ百道』(福岡市早良区)を九州では初めてプラチナで認定した。認定は全国に広がる。
コロナ禍を機に価値観の変化やSDGs志向が高まり、企業の健康経営や働き方改革の推進で心身の豊かさを充足する〝ウェルビーイング〟への関心が高まっている。「水や空気など抽象的な視点でなく、温度管理など住む人の身体と直接に結び付く要素を評価し、健康の観点から住まいの在り方を示す」(合内氏)。
同制度は心身両面の健康に着目し、建物だけではなく、周辺環境を含めて評価する。2月に認証した冒頭の三井不動産レジデンシャルの物件では、生活リズムに合わせて最適化するサーカディアン照明を標準導入した事例だった。快適な睡眠や生活リズムの形成など、健康的な生活環境の実現が評価されている。
十分な採光や開放感ある空間といった住戸内の要素に加え、景観の変化を感じられる周辺環境も心身の幸福感に寄与する重要な要素となる。更には、マンション管理に際しての地域のコミュニティー活動の仕組みの有無も評価対象としている。こうした環境は心の安らぎや活力を生み、創造的な挑戦への意欲を引き出す。「日本の住まいを〝Lively=元気・活発・陽気〟な場にしていきたい」という思いを同制度に込める。「健康につながる住まいは物件価値を高め、購買意欲の向上にも寄与する」(合内氏)。
























