2026 宅地建物取引士受験セミナー (12)
住宅新報 2026年3月31日 号 10面

【問題2-6】
地上権(以下、A)、不動産賃借権(以下、B)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、慣習の存在及び借地借家法は考慮しなくてもよい。
(1)存続期間の約定について、Aは、最短3年以上で最長の制限はなく、Bは、最短の制限はないが最長(短期賃貸借を除く)は50年が上限である。
(2)対抗力の具備について、Aは登記が必要であり、地主は登記義務を負う。Bも登記が必要であるが、登記するには所有者の承諾が必要である。
(3)譲渡性について、Aは、地主の承諾なく自由に譲渡できるが、Bは賃貸人の承諾がなければ譲渡できず、賃貸人が承諾しない場合、賃貸人の承諾に代わる裁判所の許可制度がある。
(4)地代について、地上権者は地代支払い義務を負うが、特約があれば無償となる。不動産賃借人は賃料支払義務を負う。
【問題2-7】
A所有の甲土地がAからBに売却された場合の所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)甲土地がBから更にCへ売却されており、AB間の売買契約がBの強迫を理由にAが取り消した場合、BC間の売買契約締結の時期に関係なく、Aは登記がなくても、Cに所有権を主張できる。
(2)甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、Bは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、所有権を主張して、明渡しを請求することができる。
(3)Bの甲土地取得後に、Bに不当な高値で売りつける意図で、CがAから買い受けて登記を具備した場合に、更にその事情を知りつつDがCから甲土地を買い受け登記も移転したときは、Dは、甲土地の取得をBに対抗できる。
(4)Cが、甲土地について所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続している状況下において、AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた後に、Cの時効取得が完成した場合には、Cは登記を備えていなくても、甲土地の時効取得をBに対抗できる。
【問題2-8】
不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aの不法行為によりBが即死した場合、Bは権利主体としての地位を瞬間的に失うので、BにはAに対する慰謝料請求権が発生したと考える余地はなく、したがって相続人がBの慰謝料請求権を相続することもない。
(2)Aが宅地建物取引業者甲の社員Bの営業中の自動車事故により損害を受け、Bが賠償の支払いを行った場合、Bは、甲に求償できる場合がある。
(3)Aを含む加害者数人が、共同不法行為として各自連帯して民法719条の損害賠償責任を負う場合、被害者からAに対する履行の請求は、他の加害者に対してもその効力が及ぶ。
(4)Aが所有する家屋をBが賃借して占有している場合に、2階ベランダが崩れ落ちて、C所有の乗用車が破損した。この場合、Bが損害の発生を防止するに必要な注意をしていた場合でも、Aに責任能力がないときは、Bが代替して損害賠償責任を負う。
【問題2-9】
注文者Aと請負人Bとの間で、甲建物の建築を目的とする請負契約が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Aに引き渡された甲建物が契約内容に適合しない品質であった場合、追完請求が可能であるときは、Aは、追完請求をせずに、直ちに一定額の報酬減額を請求することはできない。
(2)Aが甲建物の工事完成前に、工事代金の全部を支払っていたときは、たとえ、Bが全ての建築材料を提供していた場合でも、Aは、自己名義で所有権の保存登記をすることができる。
(3)Aに引き渡された甲建物が契約内容に適合しない品質であった場合、Aは、引渡しを受けた時より1年以内に、追完請求や代金減額請求等注文者としての権利を行使しなければならない。
(4)Aは、甲建物の工事完成前であれば、Bとの請負契約を解除できるが、その場合、仕事の内容が可分であるときには、報酬支払義務が発生することもある。
【問題2-10】
遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)共同相続人は、原則として、いつでも、遺産分割協議により遺産分割をすることができるが、被相続人は、遺言で、相続開始の時から期間(3年が上限)を定めて、遺産の分割を禁止できる。
(2)相続開始後に認知により新たに相続人になった者は、終了した遺産分割のやり直し、又は価格による支払請求権の行使を選択的に行使できる。
(3)遺産分割により法定相続分を超える権利を取得した相続人は、当該権利について対抗要件を具備しなければ、遺産分割後の第三者に対応することができない。
(4)預貯金債権は遺産分割の対象であり、遺産分割前は各共同相続人に準共有され、葬式費用の支弁に供する目的であっても、払戻しには相続人全員の共同行使が、常に必要である。
【問題2-6】 正 解 (2)
(1)は誤り。
地上権の存続期間については、民法上制限がない。これに対して、不動産賃借権については、最短の制限はないが、最長期間(短期賃貸借を除く)は50年が上限である。民法604条。
(2)は正しく、正解。
地上権は物権であり、第三者に対抗するためには登記が必要である(同法177条)。不動産の賃貸借は、これを登記したときは、第三者に対する対抗力を取得する。同法605条。
(3)は誤り。
民法上、不動産賃借権の譲渡については賃貸人の承諾が必要である(同法612条1項)。賃貸人の承諾に代わる裁判所の許可制度は、借地借家法上の制度であり、民法にはない。地上権に関する記述は正しい。
(4)は誤り。
地上権者は、特約のある場合に限り地代支払義務を負い、特約がなければ無償である(同法266条)。賃貸借は、有償・双務契約であり、使用収益の対価として、賃料を払うことが契約の内容となっている。同法601条。
【問題2-7】 正 解 (1)
(1)は誤りで、正解。
強迫による意思表示の取消し後の第三者CとAとの関係は、対抗問題として考えるのが判例の立場である(大判昭17.9.30)。したがって、Aは、登記なくしてCに所有権を対抗できない。
(2)は正しい。
不法占有者は、登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者に該当しない(最判昭25.12.19)。したがって、Bは、登記なくして、甲土地の明渡しを請求できる。同法177条。
(3)は正しい。
背信的悪意者から不動産を譲り受け、登記も具備した転得者(D)は、自分自身が第一買主(B)に対する背信的悪意者と判断されない限り、登記の欠缺を主張する正当な利益がある者として保護される。最判昭8.10.29。
(4)は正しい。
Cが時効により権利を取得すると、時効完成時の所有者Bは反射的に権利を失う。それは売買における当事者(買主・売主)と同様の関係である。当事者間では、物権変動について対抗要件(登記)は不要なので、Cは登記なくして所有権取得をBに対抗できる。同法177条、大判大7.3.2。
【問題2-8】 正 解 (2)
(1)は誤り。
即死しても、致命傷と死亡との間には時間的間隔があるので、被害者には死亡による慰謝料請求権が発生し、相続される。民法709条、最判昭42.11.1。
(2)は正しく、正解。
判例は、損害の公平な分担という見地から、損害を賠償した被用者から使用者に対する相当額と認められる額の逆求償を認めた。同法715条、最判令2.2.28。
(3)は誤り。
連帯債務者の1人に対する履行の請求は、別段の意思表示のない限り、他の連帯債務者に対しては効力が及ばない(相対効)。同法441条、719条2項。
(4)は誤り。
土地の工作物責任に関して、一次的責任負担者である占有者(B)が免責事由を挙証すれば、所有者(A)が最終的な絶対的責任を負う。所有者に責任能力は不要である。同法717条1項。
【問題2-9】 正 解 (3)
(1)は正しい。
注文者は、報酬額の減額請求等をする前に、相当な期間を定めて追完請求をしなければならない。直ちに報酬額の減額請はできない(追完請求権の優位性)。民法559条、563条1項、636条。
(2)は正しい。
この場合、特段の事情がない限り、工事完成と同時に、注文者の所有とする旨の特約があったと推認される(最判昭46.3.5)。したがって、A名義の所有権保存登記が認められる。
(3)は誤りで、正解。
この場合、Aは、その不適合を知った時から1年以内にその旨をBに通知しないと、注文者としての権利を喪失する。同法637条1項。
(4)は正しい。
仕事完成前は、注文者はいつでも損害を賠償して請負契約を解除できる(同法641条)。そして、仕事の結果、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を受けられる。同法634条2号。
【問題2-10】 正 解 (3)
(1)は誤り。
被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止できる(民法907条1項)。その他の記述は正しい。
(2)は誤り。
この場合、終了した遺産分割の安定性を維持するために、被認知者には価格による支払い請求だけが認められる。同法910条。
(3)は正しく、正解。
遺産分割による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ分割後の第三者に対抗できない。同法899条の2。
(4)は誤り。
各共同相続人は、遺産分割前であっても、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に当該共同相続人の相続分を乗じた額(上限あり)については、単独でその権利を行使できる。同法909条の2。
























