2026 宅地建物取引士受験セミナー (11)
住宅新報 2026年3月24日 号 7面

【問題2-1】
意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)Aが意思能力を有しないときに行った土地の売買契約は、Aが後見開始の審判を受けている場合を除き、効力を有しない。
(2)営業の許可を受けた未成年者Bが、その許可の範囲内で、住宅ローンの残債を引き継ぐ約束で、営業に使用する店舗の贈与を受けた場合、法定代理人は、当該贈与契約を取り消すことができない。
(3)未成年者Cが法定代理人Dの同意を得ないで、EとC所有の土地について売買契約を締結した場合に、EがD対し、1カ月以上の期間内にCの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告し、その期間内にDが確答をしないときは、DはCの行為を取り消したものとみなされる。
(4)成年後見人が成年被後見人Fに代わって、Fが居住している建物を売却する場合、後見監督人がいるときでも、家庭裁判所の許可があれば、後見監督人の同意は不要である。
【問題2-2】
AがBに対して甲地又は乙絵画の売却の意思表示をしたが、それは錯誤に基づくものであった場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aは、今なら譲渡利益について課税されないと誤解して、「事業資金が必要なので、甲地を3000万円で売却したい」と言ったところ、Bはそれを信じて「ならば、3000万円で購入する」と言って契約が成立した場合、Aは錯誤を理由に契約を取り消すことができる。
(2)Aが重大な過失に基づく錯誤により甲地を売却したが、BがAの錯誤につき善意無重過失であった場合、Aからは取消しを主張できないが、Bからは主張できる。
(3)Aは、自己所有の著名画家の乙絵画を重大な過失に基づき贋作と思い込み、「贋作だから5万円で売却する」と言い、Bも「贋作なら5万円で購入する」と言った場合、Aは、錯誤による取消しができる。
(4)Aが錯誤により乙絵画をBに売却した場合、Aは、自己に重大な過失がなかったことを自ら証明できたときに限り、当該売買契約を取り消しできる。
【問題2-3】
AがBからB所有の甲土地について、売却する代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)Aが買主Cの代理人にもなってBC間に売買契約を成立させても、当該契約は無効であり、Bの追認により有効となることはない。
(2)AがBの代理人であることを示さないでCと売買契約を締結した場合、Aが代理意思を有していることをCが過失により知らなかったときでも、Bに契約の効果は及ばない。
(3)Aが売買代金を着服する意図でCと売買契約を締結した場合に、Cが過失によってAの意図を知らなかったときは、その代理行為は無権代理とみなされる。
(4)AがBの許諾を得て復代理人Dを選任し、そのDがAの代理人としてCと売買契約を締結した結果、Bに損害が発生した場合、Aは、その選任及び監督についてのみBに対して責任を負う。
【問題2-4】
Aは、Bとの間で、A所有の甲地又は乙建物の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結、履行に至ったとき、Bに報酬を支払う旨の停止条件付報酬契約を締結した。この契約において他に特段の合意はない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)Aは、Bが斡旋したCとの間で甲地の売買契約を締結しても、売買代金を受領する前に第三者Dに甲地を売却し、履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生じることはない。
(2)Aが未だ甲地の売買契約の締結に至っていない時点においても、Bは、Aに対する停止条件付の報酬請求権をCに譲渡できる。
(3)AB間で、本件停止条件付の報酬契約が締結された時点で、既にAが第三者Cとの間で、乙建物の売買契約を締結して履行も完了していた場合、Bの報酬請求権は効力を生じることはない。
(4)Aは、Bの斡旋により買主Cと間で乙建物の売買契約を締結したが、履行に至る前に乙建物を自ら損壊したときは、条件付権利の侵害として、Bに対して損害賠償責任を負う。
【問題2-5】
時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)連帯債務者Aについて消滅時効が完成した場合、他の連帯債務者Bは、Aの負担部分については当該消滅時効を援用することができない。
(2)20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有したCは、占有取得の原因たる事実のいかんを問わず、当該土地の所有権を取得できる。
(3)通行権地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
(4)催告によって時効の完成が猶予されている間になされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
【問題2-1】 正 解 (2)
(1)は誤り。
意思能力とは、自分のした法律行為の結果を弁識(判断)できる能力をいい、この能力を有しないときの法律行為は無効である(民法3条の2)。後見開始の審判を受けているか否かは問題にならない。
(2)は正しく、正解。
負担付き贈与は、「単に権利を得る行為」ではないので、法定代理人の許可が必要である(同法5条1項)。ただし、Bは、営業の許可を受けており、営業に関する本件贈与契約は取り消しできない。同法6条1項。
(3)は誤り。
相手方は、法定代理人に1カ月以上の期間を定めて取り消すか追認するかを確答すべき旨の催告ができ、期間内に確答がないと、追認したものとみなされる。同法20条2項。
(4)は誤り。
成年被後見人の居住用建物を売却するには、家庭裁判所の許可と後見監督人の同意が必要である。同法859条の3、864条。
【問題2-2】 正 解 (3)
(1)は誤り。
Aは、課税されないと誤解して契約しているので、動機(内心)に錯誤がある。動機の錯誤は相手方保護のため、その内心の事情が表示されていれば取消しできるが、本肢のAにはその表示がなく、取消しはできない。民法95条2項。
(2)は誤り。
錯誤による取消しは、錯誤による意思表示をした者を保護するものであり、表意者本人又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる(同法120条3項)。取引の相手方Bに取消権はない。
(3)は正しく、正解。
表意者は、重大な過失があっても、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは、取消しが可能である(共通錯誤)。同法95条3項。
(4)は誤り。
重大な過失がある旨の立証責任は、表意者の錯誤による取消権を否定する相手方(本肢B)にある。大判大7.12.3。
【問題2-3】 正 解 (3)
(1)は誤り。
代理人が契約当事者双方の代理人となることを双方代理という。双方代理の効果は無効ではなく、無権代理行為となる(民法108条1項)。したがって、本人が追認すれば、契約時に遡って有効となる。同法116条。
(2)は誤り。
顕名のなかった代理行為は、原則として、代理人に効果が帰属する。ただし、本人のためにする行為であることを相手方が知っていた(悪意)か、又は知ることができたとき(有過失)は、有効な代理行為として本人に効果が帰属する。同法100条。
(3)は正しく、正解。
代理人に着服の意図があっても、授与された代理権の範囲内の行為であれば、原則として、その効果は本人に帰属する。ただし、相手方が、着服の意図につき悪意、又は知ることができたとき(善意有過失)は無権代理とみなされ、本人に効果は及ばない。同法107条。
(4)は誤り。
本肢のAは、債務不履行の一般原則に従った責任を負う(同法415条)。なお、「選任・監督についてのみの責任」とは、選任・監督について善管注意義務を怠ったことによる責任で、平成29年の法改正により削除されている。
【問題2-4】 正 解 (1)
(1)は誤りで、正解。
条件の成就によって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる(民法130条)。それにより、Bに報酬請求権が発生する。
(2)は正しい。
条件が成否未定の間における当事者の権利義務は、一定の規定に従い、処分等ができる(同法129条)。したがって、Bは、停止条件付報酬請求権を債権譲渡できる。
(3)は正しい。
乙建物は既に売却され履行も完了しているので、Bの斡旋による乙建物の売買契約が履行に至ることは不可能である。不能な停止条件を付した法律行為は無効であるから、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。同法133条1項。
(4)は正しい。
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することはできない(同法128条)。不法行為による損害賠償責任を負う。
【問題2-5】 正 解 (2)
(1)は正しい。
連帯債務者の一人のために完成した消滅時効の効力は相対効である(同法441条)。したがって、Bは、Aの債務の消滅について正当な利益を有する者とはいえず、Bに援用権は認められない。同法145条。
(2)は誤りで、正解。
所有権を時効取得するためには、「所有の意思」をもって一定期間占有しなければならない(同法162条)。例えば、賃貸借に基づき占有を始めた者には、賃借する意思はあるが、所有する意思はないので、占有を継続しても、所有権を時効取得することはない。
(3)は正しい。
同法283条。なお、「継続的に行使され」ているためは、承役地の上に通路が開設されること、その開設が要役地所有者によってなされる必要がある。最判昭30.12.26。
(4)は正しい。
催告によって時効の完成が猶予されている間になされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。同法150条2項。催告を繰り返すことで時効完成を先送りすることを認めないということである。
























