第43回 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄 慧眼を開く 完成したマンション、販売の醍醐味
住宅新報 2026年2月10日 号 4面
千葉市中央区で完成したマンションで、建物前に「360万円OFF」を表示するマンションがある。そのことを「Yahoo!ニュース」で取り上げたのは、すでに記事で報告したとおりだ。
そのマンションは、「ファインセントラルシティ」。地上14階建て、全122戸で、京阪電鉄不動産が事業主となる。建物はすでに完成済みで、実物を見せながら販売が行われている。その棟内モデルルームがよくできている。プライスダウンを表に出して販売しているのだが、住戸も魅力的に仕上げられているわけだ。
私が取材したとき、公開されていたモデルルームは3つ。すべて3LDKだが、女性目線でインテリアをつくり込んだ70m2タイプと、シングル男性をターゲットにした68m2タイプ。そして、万人向けの74m2タイプだ。
それぞれ異なる工夫があり、たとえば男性シングル向けでは、1室に本格的シミュレーターを配置していた。上がその写真で、単身者が3LDKを購入すれば、こんな暮らし方ができる、とアピールしている。
食いつく人がいれば、プライスダウン分からこの機材費用を引いて販売することもできる。そのへんの融通は、完成販売なのでいか様にもできるだろう。完成販売ならではの楽しさともいえる。
家具付きで販売したら好評だったので、次の棟内モデルルームも家具付きにした。最終的に、すべての住戸を家具付きで売り切ったというような話は枚挙にいとまがない。
浦安にある巨大テーマパークの主人公を公認イラストとして子供部屋の壁に描いた事例もあった。子供が気に入り、泣いてせがむので、「このマンション、買います」と決断した親もいた。
小さな子供を利用したようで、気が引けるという販売担当者もいるだろう。しかし、家族が喜んで買ってくれれば問題なしである。
ちなみに公認イラストを描いてもらう費用はそれなりに高額で、100万円近い金額に……。10年ほど前の話なので、今は更に上がっているかもしれない。
このように、いろいろなチャレンジができるのが、完成マンションのよさ。それが見事にはまると、販売の醍醐味を味わうことができる。
ちなみに、都心マンションの転売を繰り返す富裕層のなかには、家具をそろえ、その家具付きで販売するのが楽しい、という人もいた。自分のための家具は、いくつも購入できるものではない。しかし、マンション住戸を高く転売するための家具購入ならば、何度もできるし、お金をかけやすいからである。この姿勢、参考になりそうだ。























