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スタンダード会員限定TOCHU 情報の非対称性解消へ 売買成約価格を公開

住宅新報 2025年12月2日 号 7面

マンション・開発・経営
TOCHU 情報の非対称性解消へ 売買成約価格を公開

 同社は、主にオーナーチェンジ物件を対象に、いわゆる〝サラリーマン大家さん〟の50m2以下の区分所有ワンルームマンションを売買し、年間取扱高は100億円に上る。集客の9割を占めている同社運営サイト『TOCHU iBuyer』は、一般的な価格査定サイトとは異なる。個人情報の入力が必要ない。物件の所在地や築年、専有面積を入力すると、自動で売却価格を査定する(イメージ図)。

 同社代表取締役の伊藤幸弘氏は、「一般の価格査定サイトは個人情報の入力を求められる。不動産会社から〝早い者勝ち〟の大量の営業電話が鳴りやまなくなる。利用者は疲弊し、体験価値を下げる。売却自体をあきらめてしまう場合もある」と説明する。

投資家保護と市場発展のため

 同サイトでは、即時に同社がiBuyerとして買い取る価格と、流通に出して仲介する場合の価格を表示する。この目安の2つの価格を参考情報として意思が固まれば、その時点で『売却相談はこちら』のボタンを押した上で、初めて個人情報を入力し、同社の直接相談に進む。

 様々な事情の目的に応じて、iBuyerですぐに現金化したい利用者の1割は同社の買い取りを選び、残る9割が売買仲介を選択しているという。査定価格は取引事例比較法と収益還元法に基づき、参考になる直近で鮮度の高い2年間に絞り、同社が取り扱った物件の成約価格から算出している。

都合の良い価格

 個人情報の入力が不要ならば、いわゆる〝冷やかし〟の利用者など、同サイトからの離脱者はどうするのか。「まずは当社サイトの認知度を高めたい。利用者の母数が増える分、実際の査定者が比例して増える。何よりも不動産投資市場自体に興味をもってもらいたい」(伊藤氏)との思いがある。不動産各社がネットで公開する中古マンション価格は、必ずしも取引価格を正確に反映していない。それは、あくまでも不動産会社が売りたい〝都合のよい有利な価格〟で、それを利用者が参考にしている状況がある。同社が公開し始めた成約価格に基づく査定額の提示ならば、「精度の高い根拠から算出ができる。取引の透明性が向上する。売却の意思決定の〝納得感〟も高まる」(伊藤氏)。

 取引に日々携わる不動産会社と一生のうちに何度も取引のない利用者の間には〝情報の非対称〟が生まれやすい。ネット情報にあふれる時代でも、プロに比べて一般の消費者は〝情報弱者〟になりがちになる。その〝格差〟を最大限に生かそうとする不動産会社が少なからず存在する。株式やJ―REITなどの金融商品であれば、市場原理の値動きを今やリアルタイムに把握できる。情報の透明性を確保していることで取引が活発化し、魅力を高めて更なる投資家を呼び込んでいる。不動産投資市場も価格の透明性が高まれば、金融商品投資市場から投資家を呼び込み、取引の活性化や一層の成長、発展につながる。同社の運営サイトでは今後、不動産会社にも利用を促進していく。様々なプレーヤーが参加するプラットフォームを目指している。

選ばれる企業

 電話や訪問の非効率な営業活動は、膨大なコストが掛かる。その無駄なコストを回収しようと一度持った接点を逃したくなく、強引な契約が消費者に〝しわ寄せ〟される。情報の囲い込みを競争優位とする〝情報の非対称〟を低減すれば、従前の大きな収益には期待ができないかもしれない。「当社はベンチャー企業だからこそ、取り組める。挑戦する価値もある。投資家の保護と不動産投資市場を変革する〝ゲームチェンジャー〟になりたい。取引の透明性を高めれば、営業効率の向上でコストが削減され、結果的に収益が高まる。信頼を得られ〝選ばれる企業〟になれる。リピーターが集まり、不動産投資市場の参加者も増える」(伊藤氏)。

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