第27回 住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 慧眼を開く 定借付き億ション「パークタワー渋谷笹塚」
住宅新報 2025年10月14日 号 4面
三井不動産レジデンシャルの「パークタワー 渋谷笹塚」が好調に、というか予想外に売れている。
あえて「予想外に」と書いたのは、約70年の定期借地権付き物件であるからだ。定借だが、約45m2の1LDKで8300万円台、約70m2の3LDKで1億5900万円台、上層階プレミアムフロアの3LDK(約107m2)は2億9700万円台(いずれも第2期の予定価格)となっている。
いまだに「定借マンションは2割から3割安い」と思い込んでいる人からすると、とんでもなく高額ということになる。にもかかわらず売れた。
第1期で230戸が登録完売である。
もしや1LDKを多めに出して、景気づけをしたのでは……勘ぐったのだが、第1期では1LDKが出されていない。ファミリータイプ中心で大人気だったのだ。
2年ほど前から大阪中心部では定借タワーマンションの人気が上がった。なかなかに高額の定借マンションを大阪人が認めたのである。その流れが、東京にも来たかっこうだ。
なぜ認められたのか。
はっきり言って、立地は「ピカ一」とはいいにくい。「笹塚」に「渋谷」を付けていることから、「案外、いい場所なんですよ」とアピールしたい気持ちが透けて見える。これが代々木上原とか富ヶ谷であれば、「渋谷」は付けなかっただろう。
建物のつくりは上質で、新しい工夫も多い。が、2019年前後に販売された定借マンション「パークコート 渋谷ザ・タワー」もモノがよかった。というか、最高だった。その新築分譲価格は約40m2の1LDKが8000万円台、約74m2の2LDKが1億2000万円台など。にもかかわらず売り切るのに苦労した。それから5年ほどが経過したら、同等の価格水準で、笹塚の定借マンションが大人気……それだけ、都心マンションの価格が上がったともいえる。しかし、それ以上に、購入者の感覚が変わったことが大きいだろう。
じつは「パークコート 渋谷ザ・タワー」が販売された頃から、私は「定借が2割以上安い? それは昔の話」であることや「激安ではない分、建物のつくりがよく、住み心地が上質」ということ、そして「投資向きというより、実際に住まいとして活用する人向き」と書き続けてきた。が、相変わらず「定借マンションは安いので、投資向き」とする頭の固い人たちが多かった。
もう、そういう時代ではないことを「パークタワー 渋谷笹塚」は証明している。同マンションの敷地は新宿中村屋の社屋と工場があった場所。そこに定借マンションを建て、新宿中村屋のオフィスも入居する。
同様の開発は今後増えて行くことが予想される。
以下、続く。























