不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第69回 不動産業界の未来 限定提供データの活用が変える
住宅新報 2025年9月30日 号 7面
不動産業界ではAIやビッグデータを活用したデジタル変革(Digital Transformation=DX)が進んでいる。特に、特定の者に提供される非公開の営業情報のことを指す限定提供データの活用が不動産業界の業務効率や顧客サービスが向上している。 この限定提供データは不正競争防止法で保護される。企業間連携により新たなビジネス創出が促される一方、個人情報保護法に基づくプライバシー配慮や匿名加工、利用目的の限定が不可欠である。例えば、アメリカの不動産物件情報サイトのZillowは、膨大な物件データをAIで分析して、価格を査定する「Zestimate」に加えてChatGPTとの連携で価格査定の利便性を高めている。同じくアメリカの不動産物件情報サイトのOpendoorは、取引データ等を分析して即時に価格査定する買い取りするモデルを構築し、売買プロセスを短縮した。日本ではオープンハウスが営業支援システムで顧客データと提案履歴を統合し、成約率向上と業務効率の改善を実現した。
東急リバブルとNECは投資用マンションのマッチングサービスを開発し、顧客ごとに最適化した情報提供を目指している。不動産業界では、携帯キャリアの人流データを用いた来訪者分析や、税務データと不動産ビッグデータの連携など異業種の協業も進んでいる。すなわち、限定提供データ活用の効果は、業務効率や需要予測、価格査定の高度化、パーソナライズド提案による顧客体験の向上、新たなビジネスモデル創出など多岐にわたる。 一方、データ流出や不正利用を防ぐ法制度の整備、プライバシー保護との両立、データ形式の標準化や人材育成の課題も残る。「令和5年不正競争防止法改正」で要件緩和や損害賠償額の見直しが議論され、政府は登記情報のオープン化や官民データ連携を推進。今後は個人の嗜好やSNS、移動や気象データなど多様な情報を組み合わせ、独創的な価値創造を目指す発想力が求められる。不動産DXは適切なガバナンスと創意工夫で限定提供データを生かすことで新たな付加価値を作り出すと考えられる。例えば、Zillowでは画像解析AIで間取り図を自動生成しユーザーが直感的に物件を把握できるようにした。Opendoorの顧客満足度は2023年時点で業界トップクラスと報じられた。オープンハウスはFinTechにも踏み出し、住宅ローン管理や家計改善を支援するサービスのDX推進で業務効率を大幅改善させた。
【教員コメント】
























