不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第68回 生活ルールを全入居者に徹底を 集合住宅 賃借人同士の騒音トラブル
住宅新報 2025年9月23日 号 7面
集合住宅における騒音トラブルは、賃貸人・賃借人双方にとって深刻な問題だ。賃借人同士で騒音トラブルが起きても、賃貸人が気づかないこともある。賃貸人をA、賃借人をBとCとし、BがCからの騒音に悩まされているとする。このとき、Cに騒音をやめさせる責任が誰にあり、その法的根拠は何かについて考えてみた。
まず民法601条により、AはBに対し、目的物を使用収益させる義務を負う。その義務の内容は、通常期待される静穏な生活環境の提供も含まれるとされる。またBの生活が第三者の行為により著しく妨げられている場合、Aには信義則(民法1条2項)に基づき、その妨害を排除する義務があり、放置すれば債務不履行とみなされる可能性もある。
一方、Cには賃借人として賃料支払義務や契約期間終了時の返還義務のほか、民法616条により準用される594条1項の義務を負う。この規定は「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない」とするもので、「用法順守義務」という。そしてCの過度な騒音はこの「用法順守義務」に違反する可能性があるほか、Bに対する不法行為(民法709条)に該当する。特に深夜の大声や音楽などはBへの人格権侵害となるおそれもある。一般に、昼間は50~55デシベル、夜間は40~45デシベルが騒音の受忍限度とされ、これを超える音はトラブルの原因となる。40デシベルとは図書館や静かな住宅地、50デシベルだと普通の会話くらいだ。したがって、AはBに対する賃貸借契約上の義務としてCに騒音をやめさせる義務があり、CはAとの賃貸借契約上の義務違反とBに対する不法行為に該当する可能性がある。ただし、これはCの騒音のレベルにもよるといえる。法的には受忍限度を超えなければいずれにも該当しない。
























