不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第62回 住まいの価値と維持管理の工夫 築年数で測れない面白さ実感
住宅新報 2025年8月5日 号 5面
大学の授業の一環で、神奈川県にあるH団地を見学した。H団地は1970年代に日本住宅公団から分譲された600戸からなる高経年団地型マンションである。H団地の住棟は階段室型5階建てであり、エレベーターが設置されていない。築50 年を超えるこの団地に対して、「老朽化などの問題があるのではないか」という先入観を持っていたが、実際に現地を歩いてみると、その印象は大きく覆された。
特に印象に残ったのは、建物や敷地の管理が非常に行き届いている部分だった。2020年に大規模修繕工事が行われたことで外壁は綺麗に整えられていた。また、バルコニーの手すりは鋼製からアルミ製へ交換されているし、サッシも断熱性の高いものに更新されていた。更に、外構周りの緑地や植栽の手入れも丁寧にされていた。築50年を超える高経年団地ではあるものの、住民の生活の質を高める工夫が随所でなされていることが分かった。
こうした良質な管理は、不動産学の観点で見た場合、「資産価値の維持」や「地域全体の住環境の質の向上」に直結するものであると言える。建物が古くなれば資産価値が低下することはやむを得ない。しかし、生活の質を高める工夫がしてあれば、住民にとって住みやすい住環境を維持することができる。住みやすければ、建物が古くても一定の資産価値を維持できる。また、芝生や緑地がきちんと管理されていることで、周辺の景観に良い印象を与えていた。こうした管理の質の高さは、地域の防犯性や快適性の向上につながっていると考える。H団地の管理の質の高さが地域環境に大きな影響を与えている点が非常に興味深かった。
























