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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 404 温熱6要素 わずかな変化が健康リスクに

住宅新報 2025年7月29日 号 9面

連載: 知って得する建物の豆知識

資格・実務
  • 知って得する建物の豆知識 403 耐震基準の考え方 誤解しがちなポイントは

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  • WBGTアラーム(佐藤計量器)

    2 / 2WBGTアラーム(佐藤計量器)

 人間が快適に過ごすためには、空間の温度だけでなく、様々な要因が複雑に関与する「温熱環境」を整える必要があります。そのために注目されるのが、「温熱6要素」と呼ばれる6つの指標です。これらは、建築設計や空調設備の設計、更には労働衛生や熱中症予防など、多方面で利用される基礎的な概念となっています。特に高齢者や子どもなど、体温調節能力の弱い人にとっては、わずかな環境の違いが健康リスクにつながることもあるため、「温熱6要素」に基づく慎重な環境設計が必要です。

 具体的な温熱6要素は、「気温」「湿度」「気流」「放射(平均輻射温度)」「着衣量」「代謝量(活動量)」の6つで構成されています。前半の4つは環境条件に関わるもので「物理的要因」、後半の2つは人間側の条件で「生理的要因」とされます。以下、それぞれについて解説します。

 まずは「気温(空気温)」ですが、これは最も分かりやすい要素で、室内の空気そのものの温度を指します。暑さ寒さの体感に直結する基本的な指標ですが、単独で人の快適さを決定するものではなく、他の要素とあわせて評価する必要があります。

 「湿度」は空気中の水蒸気の量でです。体感温度や発汗・蒸発のしやすさに影響を与えます。高湿度では汗が乾きにくく、暑さを強く感じやすくなり、逆に乾燥しすぎると肌や粘膜への刺激が増えます。適切な湿度は、夏であれば40~60%程度が快適とされています。

 空気の流れの速さが「気流(風速)」です。空気が動いていれば、皮膚の表面から熱が奪われるため、実際の気温よりも涼しく感じます。逆に冬場に強い気流があると、必要以上に寒く感じます。

 周囲の壁・床・天井などからの赤外線放射(輻射熱)の影響を「放射(平均輻射温度)」と言います。例えば、窓辺の直射日光や冷たい壁面などが体に熱を放射・吸収することで、気温が一定でも快適性に差が出る要因となります。

 「着衣量(Clo値)」は人が着ている衣服の厚さや保温性を数値化したもので、「Clo(クロ)」という単位で表されます。例えば、夏の薄着は0.3Clo、冬の厚着は1.0Clo以上程度です。服装の調整によって、体感温度をコントロールすることが可能です。

 「代謝量(Met値)」は人間の活動量を表す指標で、身体が発する熱の量に関わります。安静時(座って静かにしている状態)で約1.0Met、掃除や軽作業などでは1.5~2.0Met、激しい運動では3.0Met以上になることもあります。

 これら6要素が複雑に絡み合って、人の「暑い」「寒い」といった感覚が決まる訳ですが、建築環境工学では、これらを総合的に評価して「PMV(予測平均温冷感申告)」や「PPD(予測不満足者率)」などの指標を用い、数値的に快適性を予測する試みがなされています。最近は熱中症リスクを判断する指標として、WBGT(暑さ指数)が使われます。これは、温熱6要素のうち「気温(乾球温度)」「湿度(湿球温度)」「輻射熱(黒球温度)」の3つを使って算定され、数値が高いほど熱中症のリスクが高くなります。WBGTには気流、着衣量、代謝量までは含まれていないため、精度を上げるためには活動内容や服装を考慮した補正が重要です。

 環境省の「熱中症予防情報サイト」では全国のWBGT情報が提供されています。また、熱中症警戒アラートは、WBGTが33以上と予測される場合に発表され、熱中症対策を促します。

   (建築家・中村義平二)

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