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スタンダード会員限定住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 慧眼を開く 第17回 海外で聞かない「高齢者の運転は危ない」

住宅新報 2025年7月29日 号 4面

連載: 慧眼を開く 住宅ジャーナリスト・櫻井幸雄

マンション・開発・経営
  • 住宅ジャーナリスト 櫻井幸雄 慧眼を開く 第17回 海外で聞かない「高齢者の運転は危ない」

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  • 恥ずかしながら、軽自動車でバンパーを擦ってしまった。思い返すと、この日風邪薬を服用していた。そのせいだ……と思いたい

    2 / 2恥ずかしながら、軽自動車でバンパーを擦ってしまった。思い返すと、この日風邪薬を服用していた。そのせいだ……と思いたい

 日本では高齢者ドライバーによる運転ミスが増え、社会問題になっている。ブレーキとアクセルの踏み間違い、高速道路の逆走……そこまでいかなくても、自宅駐車場で擦る、ぶつける程度のミスを経験する高齢者は多い。

 若い頃には考えられない凡ミスが65歳辺りから増えるのだ。

 かくいう私も、自宅駐車場の壁に左後ろのバンパーを擦ってしまった。コンパクトで見切りのよい車で擦ってしまったのだから、嫌になる。70歳過ぎの高齢者講習ではまったく問題なしだったのに、まさか軽自動車で擦るとは。

 なぜだろう、といろいろ調べて、分かったことがある。それは、「日本以外で、高齢者の運転ミスが問題になっている国はない」という事実だ。

 自動車大国のアメリカでも、高性能車を量産するヨーロッパ諸国でも、高齢者ドライバーは危ないと認識されていない。

 欧米の高齢者は車を運転しない? いや、そんなことはないはずだ。クリント・イーストウッドの映画「運び屋」では、90歳過ぎのじいさんが違法薬物を積んで楽しそうに長距離運転していた。

 では、なぜ、日本でだけ問題になっているのか。

 それに関し、医師の和田秀樹氏が興味深いことを書いていた。「原因は、薬」というのである。血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬……日本では、いろいろな薬が処方され、それらが効き過ぎることで、一時的な意識障害が起きやすい。それで、高齢者の交通事故が増えているのでは、という説である。

 私にも、身に覚えがある。

 以前、糖尿病の薬が効きすぎて、血糖値が大きく下がり、銀行ATMの前で「ここはどこ?何をすべき?」の状態になったことがある。

 薬局で買う市販薬も高齢のためか、効き過ぎることもある。

 高齢者に対し、日本は早め早めの治療が行われ、「とりあえず、薬をだしておきましょう」となりがち。その薬が害を及ぼすことがありそうなのだ。

 そう考えると、高齢者の事故はさらに増える可能性がある。マンションの駐車場でも対策が必要だろう。

 管理組合、もしくは管理会社として、「薬で意識障害を起こすリスクがある」ことを知らせる。薬を服用している人は、くれぐれも運転を注意し、場合によっては免許の返上を勧める。そのような啓蒙活動を始めるべきではないか。

 「高齢者の運転は危ない」と断じるより、そのほうがはるかに効果的だと思うのである。

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