知って得する建物の豆知識 403 耐震基準の考え方 誤解しがちなポイントは
住宅新報 2025年7月15日 号 9面
連載: 知って得する建物の豆知識
地震大国・日本に暮らす私たちにとって、「耐震」という言葉はごく当たり前のものになっています。家を建てるときも、マンションを選ぶときも、まず気になるのは「この建物は耐震等級いくつ?」ということ。しかしその一方で、実際の耐震基準の内容や目的について、正確に理解している人は意外と少ないのです。
例えば、「新耐震基準」。これは1981年の建築基準法改正によって導入された、いわば〝耐震の節目〟です。この年以降に建てられた建物は、震度6強から7程度の大地震でも「倒壊しない」ことを前提に設計されています。つまり命を守るための最低限の基準です。ではそれ以前の「旧耐震基準」はどうだったのかというと、「震度5程度で倒れない」レベルの設計。大地震には耐えられない可能性があることが、既に制度上でも明らかになっています。
ここで多くの人が誤解しがちなポイントがあります。「耐震基準を満たしていれば、建物は壊れない」と思っていることです。実は、耐震設計の目的は「建物が壊れないこと」ではなく、「人が逃げるまで建物が崩落しないこと」なのです。つまり、揺れで壁が割れたり柱が傾いたりしても、全体として崩れ落ちないなら、それは〝設計通りの挙動〟であり、むしろ正しく機能しているというわけです。これは裏を返せば、大きな地震の後で「ヒビが入った」「建物が傾いた」としても、それだけで耐震性能が低かったとは限らない、ということを意味します。

























