住宅ジャーナリスト櫻井幸雄 慧眼を開く 第13回 「あの川口で、売れているのか」
住宅新報 2025年7月1日 号 4面
三井不動産レジデンシャルの「パークタワー川口本町」を取材させてもらった。目的はズバリ、「あの川口で、売れているのか」だ。
SNSで川口市におけるクルド人問題が取り沙汰されるようになったのはいつからか。定かではないが、多くの人に注目されるようになったのは昨年あたりからだろう。「クルド人が好き勝手をやっている」「にもかかわらず、逮捕されることは少なく、逮捕されてもすぐに放免される」……見る人を不安にさせる投稿が相次いでいる。
その状況で新築分譲マンションが売れるのか。
バズリというのだろうか、多くの人にみてもらう記事をつくろうとすれば、「悲報 あの三井でも川口ではタワマン惨敗」というタイトルありきで取材に行くことになる。
しかしながら、同マンションはなかなか人気があることが事前に分かっていた。
それは、5月に発表した新築分譲マンション人気指数で、高い数値を出していたからだ。
だったら、売れている実情を教えてもらおう、と三井不動産広報部に取材を申し込んだのである。
実際、売れていた。2月から3月にかけて行われた第1期1次で46戸が売り出され、5月のゴールデンウィーク明けに行われた第1期2次販売で16戸が出された。すべて完売し、3倍の抽選になってしまった住戸も出た。「なってしまった」というのは、抽選にならないよう調整しながら販売活動が行われたからだ。
つまり、落ち着いた状況で販売が行われており、これは状況として悪くないと販売現場は納得している。
そもそも、販売総戸数はさほど多くない。
総戸数225戸のうち、一般に販売される対象住戸は138戸にすぎない。そのうち、2月から5月までで62戸が売れたのである。
さらに、6月下旬に第1期3次の販売が予定されており、そこでも16戸程度が販売される計画という。それも完売ならば、78戸販売となる。約5カ月で半分以上が終わるわけだ。建物完成は2026年の11月下旬予定なので、まだまだ時間がある。このあと、どのような販売戦略を取るのが効果的か……売り手主導でゆけそうだ。うらやましい、と感じる不動産関係者が多いだろう。
契約者は当然ながら、地縁のある人たち。「川口の実情」をリアルに知っている人たちである。実情を知っている人たちはクルド人の問題など眼中にない。むしろ風評によって販売価格が抑えられたことを喜んでいるのかもしれない。
以下、続く。























